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金メダルだった北京五輪を彷彿させる韓国
特別な思いで臨む準決勝の日本戦

準々決勝でキューバを撃破

主将チョン・グンウを持ち前のリーダーシップでサポートするイ・デホ。9戦全勝で金メダルを獲得した北京五輪の韓国代表のような雰囲気に近づきつつあるという
主将チョン・グンウを持ち前のリーダーシップでサポートするイ・デホ。9戦全勝で金メダルを獲得した北京五輪の韓国代表のような雰囲気に近づきつつあるという【写真は共同】

 11月8日に行われた「世界野球プレミア12」開幕戦で対戦した日本と韓国。その両者が準決勝で再び顔を合わせることになった。


 韓国は日本戦に敗れたあと、場所を札幌から台湾に移して行われた1次ラウンド4試合を3勝1敗とし、グループB3位でベスト8に進出。準々決勝ではグループA2位のキューバと対戦し7−2で勝利を収め、準決勝に駒を進めた。


 韓国が台湾で戦った5試合は日本に0−5で完封負けした初戦とは異なり、2試合で2ケタ得点するなど、韓国が主導権を握る状況が多かった。キム・インシク監督は準々決勝終了後、それまでの戦いを振り返り、「ドミニカ共和国戦、ベネズエラ戦では想像していたよりも、楽に点が取れた。そのおかげでピッチャーは余裕を持って投げることができた」と話した。


 一方で、延長10回タイブレークで敗れた米国については「ピッチャーのレベルが高く、日本の投手陣と比べて差はない」と相手の戦力を高く評価した。準決勝に進出した日本、米国、韓国、メキシコはいずれもグループBのチーム。これからの準決勝、3位決定戦、決勝戦はいずれも各チーム2度目の対戦となる。

プレミア12にピークが訪れた投手陣

 ここまでの戦いで韓国の選手の中で目立つのは、シーズンオフのこの時期にピークの訪れを感じさせる選手が数人いることだ。ピッチャーではシーズン中は先発として奪三振のタイトルを獲得し、今大会ではロングリリーフを任されている左腕チャ・ウチャン(サムスン)だ。チャ・ウチャンは3試合6回1/3を投げ1失点。14日のメキシコ戦では5回途中から3イニングを投げ、打者11人に対し被安打1、三振8個を奪う好投を見せた。


 チャ・ウチャンは韓国シリーズを経てこの大会に臨んでいるが、「コンディションは良い」と疲れた様子はない。「毎試合、先発投手の後、2番手で投げる準備をしている。2013年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で代表入りした時は、打者1人にヒット1本を打たれて降板しているので、今はたくさん試合に出て投げたい」と代表チームのマウンドに上がれる喜びをかみしめている。140キロ台後半の直球と「有利なカウントになれば確実な武器がある」と本人が語るスライダーとスプリットは、シーズン中よりも低めへのコントロールが安定している。


 また米国戦の7回途中に今大会初登板となるマウンドに上がり、2回を投げ被安打1、三振4、無失点に抑えた右サイドのシム・チャンミン(サムスン)は、これまでにない手応えを感じている。シム・チャンミンは個人的事情によりエントリーから外れた3投手に代わって、追加招集された選手だ。


「このまま1試合も投げないまま大会が終わるのではないかと思いながら、いつかチャンスがくると思って準備していた。代表チームは優れた実力を持つ人が集まっていて、プレースタイルは違っても先輩たちから得ることが大きい。みんなと一緒にいることで自分に自信が生まれた」と話す。シーズン中は球に力はあっても制球難に悩まされていたシム・チャンミンだったが、米国戦では堂々とした姿でいとも簡単にストライクを先行させる投球を見せた。

勢いが止まらない韓国一のトゥサン勢

 打者では公式戦3位ながらポストシーズンで「下剋上」を見せ、韓国シリーズ制覇を果たしたトゥサンの面々の勢いが止まらない。ライトのミン・ビョンホンはドミニカ共和国戦で左足に死球を受け欠場を余儀なくされるも、復帰したアメリカ戦、キューバ戦と2試合続けてタイムリーを放ち、7打数4安打3打点の活躍を見せている。


 またポストシーズンでの守備の際、右足親指に打球を受け、その負傷が癒えぬまま代表に合流した捕手のヤン・ウィジは回復を見せ、8番キャッチャーで先発出場したキューバ戦で3安打2打点。8回にはダメ押しの1発を放った。


 今大会、不動の3番打者として打率3割2分0厘、打点9を挙げるキム・ヒョンス、12打数6安打を記録する9番打者キム・ジェホもトゥサン所属の選手だ。今回トゥサンからは8選手が代表入りし、それぞれが活躍していることについてヤン・ウィジは「いつものメンバーが周りにいるので会話が弾むし、リラックスしてゲームに臨めている」と話した。

室井昌也
室井昌也
1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。またWBCでは公式プログラムの執筆や中継局の情報提供を担当している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。