エース前田健太が導いた準決勝進出 7回無失点、好投を生んだ二つの思い

中島大輔

筒香の思いをくんだ4番起用

初めて侍ジャパンの「4番」に座った筒香。先制打を含む3安打の活躍を見せた 【写真は共同】

 一方の打線は計13安打を放ち、今大会6試合で5度目となる2桁安打を達成した。得点を奪った6イニングのうち、5度が相手守備のミスに乗じるなど試合巧者ぶりが目についた。

 とりわけ結果を残したのが4番に入った筒香だ。初回の先制タイムリーを含め、米国戦に続く猛打賞を記録している。

 試合後、小久保監督は筒香を4番に据えた理由をこう明かした。

「筒香、中田(翔)の並びが良いだろうと思いました。(筒香は桃園の)暗い球場の中でなかなかレフトの守備で自分の思うような守備をできずにいます。昨日のヒーローインタビュー中、お客さんがいる中でノックを受けるというなりふり構わない姿に覚悟を感じました。(今日は)レフトを守らせませんでしたけど(DHで出場)、懸ける思いをくんでの4番起用です」

 一方、4番での出場に「変な緊張感もなかった」と振り返った筒香は、いつもと同じセリフを繰り返した。

「国際大会は自分がすごく成長できる場所だと思うので、もっともっと成長できるようにあと2試合頑張ります」

 投打がかみ合った横綱相撲で勝利し、東京ドームで行われる準決勝進出を果たした。対戦相手は韓国。開幕戦で下しているとはいえ、今大会で最もマークすべき相手だ。

 宿敵との決戦を前に、キャプテンの嶋は意気込みを明かした。

「次の一戦が一番の山場だと思います。そこに全員で集中していく。世界一を取りたいという思いでみんなやってきていますので、次の一戦を本当に楽しみにしています。1勝、1勝するにしたがって、チームに一体感が生まれています。もっともっと勝ちたいという気持ちが強くなっている。次は東京ドームでやるので、良い戦いをしたいと思います」

 次戦は19日、6連勝と勢いの乗る日本は宿敵相手に、開幕戦で封じ込めた大谷翔平が先発する。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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