サブちゃん涙「こんな感動した日はない」 菊花賞Vだ! キタサンまつりだ!!

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サブちゃんも惚れた! 北村が最高の騎乗

我慢に我慢を重ねた北村の好騎乗があってこその菊花賞勝利だ 【スポーツナビ】

 1周目の道中は、8枠から勢いよく先手を取りに来たスピリッツミノル、リアファルを行かせて5番手の位置。惨敗に終わったダービーのように仕掛けてポジションを取りに行かず、自然体のままでの位置取りだった。

「慌てずに行こうと思っていました。確かに3000メートルはどうかと思っていたんですが、馬を信じて乗るしかない。キタサンブラックを信用して乗ろう」と北村。前半1000メートルの通過は60秒2の平均ペース。その後13秒1−13秒7−13秒7と、ガクンとラップが落ちるが、向こう正面からアルバートドッグら中団勢が仕掛けていったため、11秒8−12秒1とまた急激にペースが上がった。そんな出入りの激しい流れの中でも、「返し馬に行ったときに、今日は折り合いがつくなと思っていました」とジョッキーが振り返ったとおり、北村&キタサンブラックは慌てず、惑わされずに不動の折り合いで脚をタメにタメていた。この“我慢”が、最後の直線で狭い馬群を鮮やかに突き抜けた爆発力と、リアルスティールの強襲をしのぎ切ったゴール前の踏ん張りにつながったのだろう。

「北村君が最高にうまい乗り方をしてくれました。私も今日はスーツでビシッと決めてきたんだけどね、馬に乗った北村君の横に並ぶと負けちゃうね(笑)」

 サブちゃんが完敗を認めるほどに、北村の騎乗は最高だった。そして、もう一人、サブちゃんが「隣に並ぶと負けちゃう」と認めた“男”がいる。もちろん、この日の主役キタサンブラックだ。

「彼の“目”に惹かれて、私はこの馬を買おうと決めたんです。最初にヤナガワ牧場で見たときは細身だったんですけどね、目つきが良くて、とにかく二枚目だなぁって。他の馬主さんたちには本当に申し訳ないんですけど、今日はキタサンブラックが一番いい馬に見えましたよ(笑)。彼にはスターの素質が多分にある」

競馬界のスター街道へ

競馬界のスターへ、キタサンブラックにはさらなる活躍が期待される 【スポーツナビ】

 この北島さんからの期待を胸に、これからも一直線に競馬界のスター街道を突っ走るのみ。そして、淀3000メートルという長丁場を制したことで、もう誰も母父サクラバクシンオーに由来する距離不安を唱える者はいない。今後のレース選択肢はグッと広がった。注目の次走に関して、清水調教師はこう話している。

「具体的なレースは未定です。ただ、香港もありますし、暮れに関しては中山コースも合いますからね」

 常識的に考えれば、走るとすれば年内はあと1走か。と言うのも、「菊花賞に向けてかなり稽古でイジメてきた。馬はつらかったと思います」というメイチ仕上げだったことを考えると、次は暮れの香港か、有馬記念か。いずれにせよ、毎回サブちゃんの熱唱が恒例になるくらい、キタサンブラックが今後2つ、3つとビッグレースを勝てば競馬人気もさらに盛り上がっていくことだろう。ドゥラメンテ、キズナら不在の秋競馬はどうなることかと思ったが、この日の淀は間違いなく“スター誕生”の舞台となった。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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