“制御不能”内藤哲也インタビュー 棚橋は「邪魔」両国は「30連戦の初戦」

長谷川亮

狭っ苦しい枠組みに縛られ息苦しさがあった

「今までは狭っ苦しい中で息苦しさがすごくあった」と「本隊」時代の苦悩を告白した内藤 【長谷川亮】

――そのファンの反応については最近どのように感じていますか。

 こういった取材とかも含めて、注目されてるなっていうのは自分でも感じてます。

――その注目されることになったきっかけは、やはりメキシコ遠征を経ての変化にあったと思うのですが、今年5月からの遠征ではどんな影響があったのでしょうか?

 今回は1カ月行って、そこでこのユニット(ロス・インゴベルナブレス)に入った訳ですけど、自分の中で今までは新日本プロレスの本隊で、なんとなく枠の中でやらなきゃいけないっていうか、「本隊=正義」で、この枠を飛び出しちゃいけないという感じがあったんです。この枠の、限られた枠の中で表現しなきゃいけないっていう思いでずっとやってきて、結局ベルトまで行けなかったんですけど、いろいろ悩んでいる中でメキシコへ行って、このユニットのソンブラ、ルーシュあたりが枠とか関係なく好きなようにやっている。そんな彼らの姿を見て、すごく羨ましいなと。で、実際ソンブラとはタッグリーグに何年も出ていたので、一緒に試合をしてみて、なんて楽しいんだと。それと彼らの姿を見て羨ましかったんです。羨ましくて、一緒に組んでやってみて楽しくて、これは日本に持ち帰りたいなって思ったんです。

――では、自分の中で意識的にも無意識にも設けていた枠に息苦しさを感じていた部分があったと。

 そうですね、なんか今までは狭っ苦しい中で考え過ぎていたなと。息苦しさがすごくありました。でも、今はそれがないので、非常に楽しいです。今まではやっぱり本隊として、ベビーフェイスとしてこれ以上出ちゃいけないっていうルールを自分の中で何となく設定していて。でも今は、ほんと「やりたいように」っていう言葉がまさにピッタリな感じです。

――「やりたいように」伸び伸びとやっている現在、こうしていきたいと今後考えていることはありますか。

 このユニットはあとメキシコに4人いて、全部で5人なんですけど、この4人は向こうでもトップクラスの4人なので、なかなか日本に呼べない、パートナーがいないという状況です。でも、待っていてもどうしようもないので、それなら俺から動いてやろうと。俺の『パレハ』、スペイン語でパートナーって意味なんですけど、その『パレハ』を準備したので、両国に連れて行きます。そしてそれ以降は、『パレハ』とやっていこうと思ってます。

『パレハ』は誰? 両国まで「トランキーロ」

注目の「パレハ」は「トランキーロ、12日まで待ってくれ」 【長谷川亮】

――この『パレハ』が一体誰なのか、非常に注目を集めています。

 このユニットはメキシコ・CMLLでできたユニットですから、メキシコはスペイン語圏なので、スペイン語が話せることは絶対条件だろうというのが俺の中ではあります。メキシコの4人の中の誰かが両国に来るのか、もしくは俺が違うところで探したパートナーが来るのか、それとも新日本にいる中から誰かを引っ張ってくるのか、その辺はトランキーロ(=焦るな)、両国まで待ってくれと。

――この「トランキーロ」という言葉は、G1以来、内藤選手がしきりに言ってきたことです。

 いま何人か欠場中だったり、最近フリーになった選手がいたり、ソンブラが来るんじゃないかとか、誰々が寝返るんじゃないかとか、いろんな予想ができる訳ですよね。でもこれってプロレスファンにとってすごく楽しい時間じゃないですか。その時間を与えているのは誰ですかと。みんな俺に感謝してくれよと。

――棚橋選手からは「そろそろ焦らないとマズいぞ」といった内藤選手の言葉を逆手にとった発言もありました。

 言ってましたね。でも俺は別に棚橋になりたい訳じゃないので。俺は棚橋が歩んできた道は歩んでないけど、逆に俺が歩んだ道も棚橋は歩んでない訳で、そんなことをゴチャゴチャ言われたくないよと。

――インタビューの最初でこの試合へ向けての意気込みはないとのことでしたが、どんな気持ちで臨むかを最後に改めて教えてください。

 棚橋戦に関しては、30連戦の初戦ぐらいにしか考えていないです。結局新日本プロレスは棚橋に勝ってもらわないと困るっていう状況ですから、勝ったところで終わらないのは分かっているので、試合に関しては「別に」ですね。それよりも俺は『パレハ』、そっちの方が大事だなと思っていて、なので両国に向けてお客さんに言えることは、とにかく『パレハ』を楽しみにしていてくれと。それは誰かって? トランキーロ、12日まで焦るなという感じです。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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