白鵬、照ノ富士が元気だった夏巡業 流れは“モンゴル4横綱時代”へ

荒井太郎

3大関と“最強2トップ”の埋めがたい差

新大関の7月場所では11勝で賜杯を逃した照ノ富士。年内の綱取りへ稽古を重ねている 【写真は共同】

 いつも尻上がりに調子を上げていく白鵬は、所属する宮城野部屋の建物が耐震性に問題が生じたため、連日の出稽古を余儀なくされた状況の中、充実の稽古ぶり。照ノ富士も稽古総見翌日の伊勢ケ濱一門の連合稽古では、遠藤に吊り落としや播磨投げといった豪快な技を見舞う一方で、絶妙なタイミングで相手の廻しを切って攻めるうまさも垣間見せるなど、20番取って全勝。手がつけられない強さを見せつけている。

 秋場所の優勝争いは、夏巡業でも精力的だった白鵬と照ノ富士を中心に展開されるだろう。先場所は14日目まで優勝を争って11勝と新大関としては及第点以上の結果を残した照ノ富士だが、白鵬、鶴竜の2横綱には完敗。「番付が上の人に勝てるようにしないと」と本人は2度目の賜盃に意欲満々だ。

 白鵬とは14日目の対戦が予想されるが、その時点で優勝圏内にいれば勢いとムードが後押ししてくれるに違いない。そうなれば、年内の九州場所後の横綱昇進もかなり高い可能性で見えてくる。稀勢の里をはじめ、日本人の先輩大関陣にも立ちはだかってもらいたいが、現在の“最強2トップ”との差は残念ながら埋めがたい。流れは確実に「モンゴル4横綱時代」に向かっている。

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著者プロフィール

1967年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、百貨店勤務を経てフリーライターに転身。相撲ジャーナリストとして専門誌に寄稿、連載。およびテレビ出演、コメント提供多数。著書に『歴史ポケットスポーツ新聞 相撲』『歴史ポケットスポーツ新聞 プロレス』『東京六大学野球史』『大相撲事件史』『大相撲あるある』など。『大相撲八百長批判を嗤う』では著者の玉木正之氏と対談。雑誌『相撲ファン』で監修を務める。

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