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大迫傑、予選敗退でも見せた成長の証
課題はさらなるスプリント力の向上

日本勢過去最高の着順

男子5000m予選、1組に登場した大迫は日本勢過去最高となる7着に入ったが、決勝進出とはならなかった
男子5000m予選、1組に登場した大迫は日本勢過去最高となる7着に入ったが、決勝進出とはならなかった【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 陸上の世界選手権(中国・北京)、大会5日目の26日に行われた男子5000メートル予選1組を7位でフィニッシュした大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)は、さばさばした表情でミックスゾーンに現れた。

「最後までは予定通りでした。でもラストは位置取りの問題もあって着順で入れなかったですね。トレーニングも順調にできていましたし、コンディションもよかったと思います」


 2つの組で行われる予選の各上位5名に加え、それ以下でタイムのいい順に5名、計15名が決勝へ進むことができる。大迫がその後者の5名に加われるかは2組目の結果にゆだねられ、そのレースはまだ行われている最中だった。


 5着までの差はわずか0.41秒。予選7位は世界選手権のこの種目では日本勢過去最高順位でもある。結果として2組目がハイペースで進み、そこから5名の選手がタイムで拾われたため大迫が決勝に残ることはできなかったが、これまでの取り組みの成果と、今後への可能性が感じられるレースだったと言えるだろう。

ラスト1000メートルは世界基準の数字

3000mまではスローペースな展開が続いたが、その後は一気にラップタイムが跳ね上がった
3000mまではスローペースな展開が続いたが、その後は一気にラップタイムが跳ね上がった【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 大迫の入った予選1組は序盤からスローな展開だった。スタート直後から逃げた選手が1人いたが、集団はそれを見送り、1000メートルを2分53秒、3000メートルを8分38秒で通過。


 だがここからレースが動く。エマニュエル・キプサング(ケニア)が先頭に出て、ペースアップすると、この1000メートルのラップは2分35秒まで上がる。そこから終盤にかけさらにペースが上がり、集団から選手が脱落していく中、大迫は8番手付近でラスト400メートルに入った。

「ラスト勝負になることは予想していました。でも自分も余裕がありましたが、それはほかの選手も同じでした」


 ここからのスパート合戦ではひとつ順位を上げたのみ。7位でフィニッシュに飛び込んだ。


 ラストで競り負けたもののそこまでの走りは果敢なものだった。特に3000メートル以降、一気に上がったペースに対応した点は評価されるべきだろう。今大会に参加している日本男子長距離陣のほとんどが、海外勢の急激なペースアップの前になす術なく失速している中、大迫はそれに対応し、かつその後もハイペースで押し切った。ラスト1000メートルのラップタイム2分29秒67は世界基準の数字といっていい。


 だがラスト400メートルでのキレは世界との争いに勝てるものではなかった。手元の計時では57秒前半。世界のトップクラスは決勝ともなればここを52秒台でカバーできる力を持つ。その差が出てしまった。大迫自身も「最後の400メートルの時点で3番目くらいにいれば、違った結果になったかもしれない」と位置取りのミスを認めた。もう少し前の位置から逃げたかったということだ。

加藤康博

1976年埼玉県生まれ。スポーツライター、ノンフィクションライター。国内外の陸上競技に加え、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールといった“フットボール全般”の取材をライフワークとする。スポーツだけでなく、「スポーツの周辺にある物事や人」までを執筆対象としている。著書に『消えたダービーマッチ』(コスミック出版)

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