衝撃を残した清宮幸太郎の初甲子園 “清宮フィーバー”はまだ終わらない

楊順行

宿舎変更から始まったフィーバーはU−18W杯へ

清宮見たさに大勢の観客が詰め掛けた甲子園。8月28日からのU−18W杯、そして、来年のセンバツ……清宮フィーバーはまだまだ続きそうだ 【写真は共同】

 清宮は、準々決勝の九州国際大付高戦でも魅せた。2点リードの4回、先頭打者として打席に立つ。初回の第1打席は、胸元の速球に止めたバットが当たって投ゴロ。そのとき、左親指付け根を痛めたが、「その分、逆にリラックスできると切り替え」、また苦手の内角を突いてくると読む。そして初球を狙い打ち。読み通り内角速球をとらえると、打球は一直線に右翼フェンスを越えた。2試合連続のホームラン――。

 この活躍に刺激を受けたように、早実打線は九国投手陣から3ホーマーを含む12安打8得点。投げては松本皓が強力打線を1点に封じ、和泉実監督が「日ごとの成長が、僕の想像を超えている」と話した4強進出は、100年前の第1回と同じだ。

「100年前に肩を並べられたことはうれしいですが、超えないといけない」と、清宮が語った準決勝は、0対7の完敗だったが、大会後に日本で初めて開催される第27回U−18ワールドカップ(28日〜9月6日、甲子園ほか)の代表にも内定したもようだ。

 また、その場合、当初は9月5日に開幕予定だった秋季高校野球東京大会1次予選に影響が出かねないため、東京都高野連が日程変更を検討しているという。当初は甲子園近くだった早稲田実高の宿舎が、混乱を懸念して関東一高と入れ替わったことから始まり、球場入りの際の導線の変更、そして阪神電車の増発と続いた“清宮フィーバー”は、まだまだ続きそうだ。

あと4回、清宮を見るチャンスあり

 そういえば……仙台育英高・紀伊海秀左翼手は、こんなふうに語っていたものだ。

「昨年の秋、早実と練習試合をしたときには、一目見て“強い!”という感じがしなかったんです。もちろん清宮君はいなかったんですが、桐蔭学園高とか強いチームには、オーラがありました。だけど、今の早実にも、そういう重厚感がある」

 もちろん、清宮1人の存在がそうさせているわけではないだろうが、少なくとも清宮効果はあるはずだ。その清宮は、こう言って初めての甲子園を去った。

「いい場面で打てたのは、1年生にもかかわらず、楽しく、のびのびプレーさせてくれた3年生のおかげ。3年生に連れてきてもらった甲子園にはまた戻ってくるので、土は持ち帰りません」

 われわれにもあと4回、清宮の甲子園を見るチャンスがある。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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