想像できなかった早実のベスト4進出 勢いは西東京5回戦のサヨナラから

楊順行

第1回大会出場の「目に見えない力」

優勝した06年以来となるベスト4進出を果たし、アルプススタンドへとかけ出す早稲田実業ナイン 【写真は共同】

 さらに「勝負には直接関係ないと思われるでしょうが、100年前の第1回大会に出ていることが、力になっていると感じます」と和泉監督は語る。

「100年前を味わっているのは、東京ではウチだけでしょう。100年前に出場している重圧をよく言われますが、人間というのは、そのプレッシャーが必ずしも悪いわけではない。今回に限っては、反発力になっていると感じます」

 目に見えない力というのは、十分ありうる。同じ第1回大会に出場し、そこで優勝した京都二中の継承校・鳥羽の山田知也監督も、「この夏の京都大会では、対戦する相手が前日に延長15回を戦っていたり。100周年に出場できたのは、何かが後押ししてくれたようでした」と語っている。

 かくして、早実はベスト4に進出。こうなると、下馬評はさほどでもないながら、大阪桐蔭や駒大苫小牧といった難敵を下し、初めて夏の頂点に立った06年を思い出す。あのときに、雰囲気が似てきたのでは?

「そうですねぇ。ムードが似ているかどうかは別として、あの年は夏前に、大先輩の王(貞治)さんが胃がんの手術をし、なんとか勇気づけられたら……という思いが募っていました。その王さんが始球式をしてくれた今回、100年という節目が力になっているかもしれません」

 加藤が締めくくる。

「100年前の先輩は、ベスト4でした。まず、そこを超えたいと思います」

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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