第1打席の反省が生んだ清宮の2安打 大観衆の残る期待は一発のみ

楊順行

2安打1打点、それでも本人は不満気

3回の第2打席で先制タイムリーを放った清宮。第1打席・空振り三振の反省から生まれた一打となった 【写真は共同】

 結果、4打数2安打1打点。これで清宮は、高校入学以降、春の東京大会から出場した12試合の公式戦すべてでヒットを放ち、打点がなかったのはわずか1試合だけだ。その勝負強さ、並外れている。

「1打席目のように、力任せに振り回していれば相手も穴が見えてくるでしょう。ですが2打席目以降、つなぐことに徹底する力がある。ことに中盤以降は相手ペースで、清宮に対するマークも厳しいなかで、良い役割を果たしてくれました。皆さんの期待に応える一発はまだですが、もし私が相手の監督だったら、今日のようなバッティングをされた方がイヤですね」と和泉監督は評価する。

 2安打1打点なら十分合格なのだが、それでも本人、1回戦同様にまだ不満そうだ。

「あんまり、真っすぐが来なかった。第2打席の初球がそうだったのですが、これは決め切れませんでしたし……(ライト線への大ファウル)。スイングもちょっと崩れているので、自分の型にもっていくことを意識していきたい。今日は走塁ミスもありましたし、苦しい試合でした」
 9回、渡辺大地の決勝打が出た早実は、7対6と広島新庄を制し、3回戦に進出。
「これだけ皆さんが注目してくださるのは、清宮と100周年のおかげ。チームとして、うれしいことです」(加藤雅樹主将)

 こうなると、見たいのは清宮の一発だ。

 プロ野球OBと、清宮について雑談したことがある。体も素晴らしいが、とにかく、バットコントロールがうまい。だから、変化球への対応力なども優れている。ただ、ライナー性の打球が多く、打球が上がらないのは、まだ下半身が十分使えていないから。フォロースルーが小さいのも、そのせいだと思う。下半身をもっと使うようになれば、ホームランを量産するはず……。ただ本人、「ホームランはヒットの延長。状況に応じて、打てたら打ちたい」と意に介していない。

 たびたび引き合いに出して恐縮だが、1年生スラッガーの先輩・清原和博(PL学園)が、甲子園で初めてアーチをかけたのは1983年夏の決勝、自身6試合目でのこと。われわれも、清宮の一発を楽しみに待つことにしよう。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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