甲子園では分かっていても確認、再確認=漫画『クロカン』で学ぶ高校野球(2)
できることに集中するため
『クロカン』第6巻10話「出発点」より 【(C)Norifusa Mita/Cork】
『クロカン』第6巻10話「出発点」より 【(C)Norifusa Mita/Cork】
『クロカン』第6巻10話「出発点」より 【(C)Norifusa Mita/Cork】
鷲ノ森高校の選手たちは、プレー前に自らの頭を指差し、次に自分がするべきことを確認する。「クロカン」こと黒木竜次監督が公式戦未勝利の鷲ノ森高校に赴任したとき、選手たちに徹底させたのがこれだった。この行為について、黒木監督は選手たちにこう説明した。
「いいか! 常に頭を使え。常に考えてプレーのパターンを想定し、それに従って動くんだ! あらかじめ考え決めたこと以外のことは絶対にするな! それ以外のことをしようとすると無理になる! 無理がミスになる! ミスで集中が切れる。それが大量失点になる」
例えば、無死一塁で相手が送りバントをしてきた場合はどうするのか。黒木監督はこう指示した。
「ランナー、スッ転ばない限り、すべて一塁へ送球することだ! バントはとにかく打者走者を殺す。これを全員で意思統一しろ!」
経験も実績もない選手たちに多くは求めない。その代わり、できることを確実にやる方に集中させる。実力以上のことをやろうとすると、必ずミスが起きるからだ。その選択肢は少ないほどいい。選択肢が多いと、迷いが生まれるからだ。“ここ一番”の緊張する場面で、冷静な判断をするのは経験がある選手でも難しい。