水分補給に最適なスポーツドリンクは? 管理栄養士おすすめ!コンビニ飯の選び方

田中夕子

【Getty Images】

 梅雨空から一転、猛暑日や熱帯夜。本格的な夏の到来です。気温が上がればそれだけ発汗量も増え、体内の水分は失われてしまう。熱中症予防のために何を飲めばいいのか。水分とミネラルを同時にできる手軽な飲料として、スポーツドリンクが頭に浮かぶのではないでしょうか?
 
 管理栄養士の川端理香さんに聞く「管理栄養士おすすめ!コンビニ飯の選び方」。シリーズ12回目は「水分補給に最適なスポーツドリンクの種類」。素早く体内に吸収するために、数ある中から何を選べばいいのか。生活パターンや運動スタイルを考慮し、自分に合った正しいスポーツドリンク選びに活用できるポイントをお教えします。

スポーツドリンクは大きく分けて3種類

 水やお茶とは異なり、発汗で失われるミネラルや、エネルギーとなる糖分、アミノ酸を含むものなど、「スポーツドリンク」と言ってもさまざまな種類があります。
 スポーツドリンクは大きく、浸透圧が体液よりも高いハイパートニック飲料、浸透圧が体液とほぼ同じアイソトニック飲料、浸透圧が体液よりも低いハイポトニック飲料の3つに分類することができます。
・運動中の水分摂取なら「ハイポトニック飲料」

 スポーツをして多量の汗をかけば、それだけ多くの水分が失われます。できるだけ早く水分を体内に吸収するために、最も適しているスポーツドリンクは何か。それは、浸透圧が体液よりも低く、体内への吸収もスムーズなハイポトニック飲料です。

 ハイポトニック飲料は、他の2つと比べてあまり甘味がありません。水分は小腸で吸収されます。余分な糖分を含んでいると胃に停滞する時間が長くなり、小腸に到達するまでに時間がかかる。つまり、同じスポーツドリンクとは言ってもそれぞれ吸収される速度が異なるため、「素早い水分補給」という意味ではハイポトニック飲料が適しているのです。

どれが「ハイポトニック飲料」?

 運動中はハイポトニック飲料がいい、というのは分かったけれど、実際どれがどれだか見分けがつかない。少し専門的な知識があれば、自分で選ぶことができるかもしれないけれど、さすがにそこまでドリンクについての知識はない。「ヴァームウォーター」(明治)や「ポカリスエットイオンウォーター」(大塚製薬)など、パッケージやホームページに「ハイポトニック飲料」と書かれているものもありますが、パッケージだけでは分からないものもあります。

 そんな人にとって、心強い味方になるのが各ドリンクメーカーの「お客様相談室」です。商品がハイポトニックなのかどうかも教えてもらえますし、「アイソトニックとハイポトニックの違いを教えて下さい」と聞けば丁寧に説明してもらえたり、さらには自社製品の中で適したドリンクを教えてもらえたりすることもあります。積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

用途に合わせてドリンクを選ぼう

 運動時に限らず、暑さが厳しく発汗量の多い夏は「汗をかいたからスポーツドリンクでミネラルと水分を補給しなきゃ」と思う人もいるかもしれませんが、食事をしっかり取っているならば、そこまで過剰に意識をする必要はありません。普段よりも多めに汗をかいたと感じる時はハイポトニック飲料を摂取してもいいですが、食事で糖分や塩分が取れているならば補給するのは水分だけでいい。「体に良さそうだから」と安易にスポーツドリンクを選ぶのではなく、水を飲むだけでも十分です。

 最近は、子どもの肥満が増えていますが、意外にドリンクからの糖分、エネルギーの過剰摂取が問題になることがあります。もちろん、大人も同じ。何気なく飲んでいるドリンクで必要のないエネルギー摂取をしている場合もあります。発汗量が多い場合はスポーツドリンク、それほどではない場合は水という使い分けが大切です。

 運動中は代謝を高めるためにも積極的に水分を摂取することも必要です。代謝を促すためにも、体を動かす前にはコップ1〜2杯程度の水分を摂取する、終わった後は疲労回復のためにビタミンCやハイポトニックよりも糖分が高いアイソトニック飲料を選ぶなど、用途に合わせて、賢くスポーツドリンクを活用して下さい。

川端理香プロフィール

管理栄養士。元日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ。スポーツ栄養Watsonia代表(http://kawabatarika.com/index.php)。Jリーグチームや選手、プロ野球、ゴルフ、柔道選手などのサポートをし、日本オリンピック委員会強化スタッフとして、全日本男子バレーボールチームなどを担当。トップアスリートからスポーツ愛好家まで、スポーツをする人の競技力アップのためのサポートに務めている。著書に『スポーツ選手の完全食事メニュー』『10代スポーツ選手の栄養と食事』『子供の身長を伸ばす栄養と食事』など
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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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