なでしこリーガーそれぞれの再出発 ファンが解決できる女子サッカーの課題

馬見新拓郎

悔しさを晴らすように戦う菅澤

得点ランキング首位を走る菅澤(黄)は、女子W杯で味わった悔しさを胸に、リーグを戦っている 【写真は共同】

 女子W杯での悔しさを胸に秘めたまま、なでしこリーグを戦う選手もいる。女子W杯後にジェフユナイテッド市原・千葉レディースに戻ったFW菅澤優衣香は、リーグ中断前からの好調を引き継ぐようにプレーしつつ、初めて味わった世界大会をターニングポイントにしようとしている。

「個人的には、どちらかというと悔しさが残った女子W杯。決勝でのヘディングシュート(76分のMF宮間あやのクロスからのシュートを米国GKホープ・ソロにキャッチされた)が決まっていれば、試合の流れは変わったはず。あの場面の悔しさは、今もまだ残っている。もっと自分で積極的にゴールに向かわないといけないと、意識面で変化した部分はある」

 なでしこジャパンの背番号15から、ジェフLの背番号9に着替えてリーグを戦う菅澤は、その悔しさを晴らすようにリーグ再開から2試合連続で得点を重ね、リーグ中断前を併せると4試合連続の得点で得点ランキング首位を走る。

「再開したなでしこリーグを経験すると、海外の選手の方がプレースピードは速かったと感じている。でも、私が好調というより、ジェフLの周囲の選手がうまくサポートしてくれるし、お互いのことが分かり合えているからこそ、得点が取れている方が大きい」

 菅澤が代表レベルでさらに評価を高めるには、周囲の代表選手との連係に重きをおいて練習を重ねることが、さらに重要になってくるのかもしれない。

なでしこリーグに必要な観客の目

 これは当たり前だが、なでしこリーガーはJリーガーほど、世間から注目された試合を多くこなしていない。よって、先の女子W杯決勝のように、大きな注目を集めた緊張感のある場でも、日本選手が普段通りかそれ以上のプレーが発揮できるように、普段のなでしこリーグから緊張感のある試合をいかに数多く成立させていくのかは、なでしこリーグ周辺の課題と言えるだろう。そのためには、多くの観客の目が必要だ。

「代表戦はもちろん、日テレに帰ってきても、大勢の方が見に来てくれているから、(女子W杯からの)緊張感を保ったままプレーできている。見られることで責任感が増し、自分たちの成長につながるはず」

 有吉がこう話すように、だたのなでしこリーグの1試合を、特別ななでしこリーグの1試合にすることができれば、選手は注目されている意識と緊張感でパフォーマンス自体も数段高まるはずだ。良いプレーをするために高い集中力を要する、注目度の高い試合をいくつこなしたかによって、選手の成長度合いも大きく異なってくる。

 代表選手に限らず、なでしこリーガーが本当の意味での経験値を国内で積むために、これからもなでしこリーグと成長を続けようとする選手の動向をつぶさに見届けてほしい。

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著者プロフィール

1984年2月8日、鹿児島県阿久根市出身。フリーライター。携帯電話公式サッカーサイト『オーレ!ニッポン』編集部を経て、2005年からフリーに。以後、女子サッカーを中心に2011年女子W杯、ロンドン五輪などを取材。週刊サッカーマガジン、エルゴラッソ等に寄稿。既刊本に『なでしこジャパン 壁をこえる奇跡の言葉128』(二見書房)。

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