球宴ファン投票で見る巨人人気の浮沈

ベースボール・タイムズ

今年は巨人から1人だけ選出

【ベースボール・タイムズ】

 夏の祭典、プロ野球オールスターゲームが今年も開催される(17日・東京ドーム、18日・マツダスタジアム)。セ・パ12球団から計56人の多士済々の選手たちが集結するが、その中で栄誉ある「ファン投票」で選ばれた選手は、両リーグで計23人(セ11人、パ12人)を数える。その内訳を見ると、第2戦が行われるマツダスタジアムを本拠地とする広島から黒田博樹、會澤翼、新井貴浩、菊池涼介、丸佳浩の5人がファン投票で選出された一方、第1戦の東京ドームを本拠地とする巨人からは唯一、山口鉄也が選ばれたのみだった。

 その時代の人気の証明であるファン投票。今回の結果は、巨人の人気低迷、スター選手の不在を如実に物語る。球界の盟主であるべき巨人の人気凋落はいつから始まったのか。1951年から始まったオールスターの歴史を振り返りながら、変貌する巨人人気について考えたい。

人気を独占していたV9時代

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 2リーグ分立の翌年となる1951年、それまでの東西対抗戦を引き継ぐ形で新たに始まったオールスターゲーム。第1回には、巨人から別所毅彦(投手)、川上哲治(一塁手)、千葉茂(二塁手)、平井正明(遊撃手)、青田昇(左翼手)の計5人(9人中)がファン投票で選出された。

 その後も、水原茂(55年から59年は円裕)、川上哲治監督の下で優勝を重ねてゆく中、人気面でも球界をけん引。51年から74年までの24年間で、巨人がリーグ最多選出球団だったのは22度。長嶋茂雄が入団1年目から17年連続(58〜74年)、王貞治が入団2年目から21年連続(60〜80年)でファン投票選出されるなど、ONコンビの活躍と栄光のV9時代の中で、オールセントラルも必然的に巨人中心のチーム編成となり、特に73年などはファン投票9人中8人(堀内恒夫、王貞治、土井正三、長嶋茂雄、黒江透修、末次民夫、高田繁、柴田勲)が巨人勢で占められた。

球界は群雄割拠もやっぱり巨人が1番人気

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 V9時代を終えると、長嶋茂雄、藤田元司、王貞治の監督の下、成績面ではやや不安定な時期を過ごした巨人だったが、人気面での陰りはほとんど見えなかった。逆に80年代に入ってからは世代交代に成功し、原辰徳、中畑清がファン投票1位の常連となったほか、投手陣では西本聖、江川卓、桑田真澄、野手陣では山倉和博、篠塚利夫(現:和典)、松本匡史、吉村禎章、クロマティ、駒田徳広、岡崎郁、川相昌弘といった面々がファン投票1位に選ばれた。

 当時はやはりテレビ中継の影響が大きく、一極集中の報道の中で、まだまだ「プロ野球=巨人」の時代であった。ヤクルトが初優勝した78年に4人選出、同じく阪神が優勝した85年に5人選出など、一時的なブームに押される年もあったが、巨人人気は健在。オールスターでも巨人勢中心の「人気のセ」に、「実力のパ」が挑むという構図は変わらなかった。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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