――このチームに入ったきっかけは？

「（１３年に）柏レイソルと契約を更新しないことになり、また海外でやろうかなと思ったんです。最初はペルーの１部のチームでやろうと思ったのですが、そのチームは外国人枠が埋まっていた。どうしようと思ったら、このムニシパルから電話がきました。２部リーグはそれまで外国人がプレーできなかったのですが、去年から外国人も３人までプレーできるようになったんです。１人外国人枠が余っていて、僕はそこに滑り込んで入りました」

――今週行われた２部リーグの試合をダイジェストで見ましたが、環境も悪そうで、観客がほとんどいなかったです。

「でも、２部のチームがムニシパルとやるときは満員になりました。地方のチームからすると、ムニシパルは１部のアリアンサ、ラＵ、クリスタルみたいな感じで見られているので」

――リスペクトされているのですね。

「そうなんです。愛されているんです。歴史が深いということもあって、有名な選手も輩出していますし。南米の人って一つのチームを愛するんですけれど、「他にも好きなチームがあるか？」って聞くと、ペルーではだいたい「デポルティボ・ムニシパルが好き」って言う人が多いんです」

――少し前まで固定のホームスタジアムを持たなかったチームが、これだけよく愛されますね。

「そうなんです。昔から（ホームスタジアムを）転々としながらやっているんですけれど、新しく入った会長や関係者の人たちが今年からプロジェクトを作ったんです。ビジャ・エルサルバドールというエリアと密接になり、ここで練習をして、ここで試合もして、ビジャ・エルサルバドールという街をもっと盛り上げようとしている。そのようなこともあって、ここの人たちのファンも増えてきました」

――リマのチームというより、地域のチームになりつつあるのですね。

「なろうとしていますね。スタジアムも人工芝ではなくいずれは天然芝にするようです。プロらしいちゃんとした練習場とか施設を作ることまで、今の上層部は考えています」

――澤さん個人としては、このチームとともに上がっていきたいのか。それともステップアップを考えているのでしょうか？

「僕はもちろんステップアップを考えていますけれど、ペルー国内でやる分にはここが結構気に入っています。愛されているので（笑）」

　もうすでにチームメートはスタジアムを去っていたが、ゲートの外には澤が出て来るのを待つ多くのファンがいた。メディアからもファンからも、澤が愛されているのが伝わって来る。

「そうなんです。なので居心地は良いんです。外国から声がかかれば考えますけれど、ペルー国内だったらここがいいです」

――外国だったらブラジル、アルゼンチンとか？

「日本もオッケーです」

――欧州は？

「歳も今年で３２になりますし、やるとしたら“南米国内”です」