中田浩・柳沢・新井場が歩む新たな道 スターたちが彩った華やかな合同引退試合
地方クラブを運営する新井場
新井場は今年から出身地・枚方にホームを置く関西リーグ1部・FCティアモ枚方の代表に就任。スポンサー集めなどに取り組んでいる 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
その一歩として、新井場は今年から出身地・大阪府枚方(ひらかた)市にホームを置く関西リーグ1部・FCティアモ枚方の代表に就任。スポンサー集めなどに精力的に取り組んでいる。地元の小クラブを地道に育てていくというのは、日本サッカー界への恩返しにつながるはずだ。攻撃的サイドバックとしてインパクトを残してきた男の果敢な挑戦の行方が楽しみだ。
クラブを支えつつ経営を学ぶ中田
中田浩二は将来のJリーグチェアマンを目指して、経営を学ぶという 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
彼は今年から鹿島CRO(クラブ・リレーションズ・オフィサー)に就任し、身近なところからクラブを支える側に回っている。同期の小笠原は「改めて浩二たちと一緒にプレーして、アントラーズは優勝しないといけないチームだと再認識した。そういう意味で今季第1ステージの結果(8位)は恥ずかしい。今のチームは彼らの全盛期のようにサッカーがまだ分かっていない」と鹿島の現状に苦言を呈していたが、苦しむ仲間たちを陰から支えるのが中田の重要な仕事である。
加えて、彼はJリーグが今季から立命館大学と共同で立ち上げた「JHC教育・研修コース」の受講生となり、将来のJリーグチェアマンを目指して、経営を学ぶという。
「ヨーロッパには(ミシェル・)プラティニや(フランツ・)ベッケンバウアーみたいに選手から経営者に転身した人もいる。自分が経験したものを現場だけでなく、事業・経営という立場から役立てていけるようにしたい」と本人も意気込みを新たにしていた。
指導者としての道を歩む柳沢
鹿島でコーチを務める柳沢。鋭い感性を持つ点取屋を育てることができるか 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
「今までは周りから気を使われている感覚だったけれど、これでまた1つステップを上がれる」と柳沢もスッキリした表情を見せたが、自身の苦い過去を指導の糧にしていくことが今の彼には重要だ。「ヤナギさんみたいに動き出しが速く、回数の多いFWは今まで見たことがない。その鋭い感覚を人に伝えるのは難しいと思うけど、頑張ってほしい」と中村もエールを送っていたが、柳沢コーチには鋭い感性を持った点取屋をぜひとも育ててほしいものだ。
三者三様の形で日本サッカー界に貢献
目指す方向は異なるものの、3人はそれぞれの形で日本サッカー界を支えていく 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
特に小笠原が強調した通り、常勝軍団復活は彼らにとっても至上命題。今季第1ステージの結果はOB3人にとっても納得がいかないはずだ。現役の昌子源も「自分たちがしっかりやらなければいけないとこの引退試合を見て痛感させられました」と自戒の念を込めて語っていた。この1日が新世代の鹿島にとっての大きなターニングポイントになるのか否か。それを彼らも注視し続けていくに違いない。