夏バテ予防に役立つスタミナ飯 管理栄養士おすすめ!コンビニ飯の選び方

田中夕子

【Getty Images】

 湿度も高く、ちょっと動くだけで汗をかく。せめて青空ならば気持ちも晴れるけれど、見上げればどんよりとした曇り空。何だかいつも以上に疲労を感じるなぁ、という人が少なくないこの季節。実はそれ、夏バテ注意の黄信号です。本格的な夏の到来を前に、今から体のリセットをしておきませんか?

 管理栄養士の川端理香さんに聞く「管理栄養士おすすめ! コンビニ飯の選び方」。シリーズ10回目は「夏バテ予防に役立つコンビニスタミナ飯」をご紹介します。ちょっとした選び方のコツを覚えて、元気な体で夏を迎える準備をするために、暑さに負けない体づくりのポイントをお教えします。

夏バテ予防に有効なビタミンは?

・疲労回復にビタミンC

 人によって感覚は違いますが、代表的な夏バテの症状は食欲不振、だるさ、睡眠の質が低下することです。気温が上昇する梅雨時期や、初夏は湿度も高く、部屋にいるだけで普段以上に疲労感が生じます。人によっては頭痛や食欲不振などさらに悪循環が起こる。夏バテは、とても厄介なものです。
 たいていの人が暑くなってから夏バテ対策を考えますが、暑くなってからでは遅い。暑くなる前に予防策をとることが大切です。

 まず夏バテ防止に有効とされているのが、ビタミンCを摂取することです。ビタミンCは疲労回復だけでなく、ストレスや免疫力も強化する働きがあります。ビタミンCと言えばレモンやオレンジなどの柑橘類を想像する人が多いと思いますが、ブロッコリー、トマト、キャベツなどの野菜類もビタミンCが豊富で、コンビニエンスストアではビタミンCが1000mg取れる野菜ジュースや、ビタミンCが入ったあめも売られているのでうまく利用するといいでしょう。

 ただ、気をつけてほしいポイントとしては、ラベルに「レモン50個分のビタミン」のようにと書かれているものもありますが、実はレモンのビタミンCはそれほど多くありません。「レモンはビタミンCが多い」というイメージ先行をうまく利用した宣伝文句ではありますが、選ぶ時には「レモン50個分」というあいまいな数字ではなく、成分表を見て実際にビタミンがどれだけ入っているかをチェックするようにして下さい。

・ビタミンB1で炭水化物をエネルギーに

 夏バテ予防にもう1つ欠かせない栄養素がビタミンB1です。疲労回復はもちろん、炭水化物をエネルギーに変えるにはビタミンB1が不可欠。ご飯や麺類など炭水化物を多く摂取する日本人の食生活を考えても、ビタミンB1を摂取することはとても重要なポイントです。

具体的には何を食べたらいい?

・「うなぎ」「豚肉」「玄米」 サンドイッチならハム入りを

 では実際にビタミンB1を豊富に含む食材は何か。代表的なものがうなぎや豚肉、玄米です。土用の丑(うし)の日に代表されるように、夏場はスタミナをつけるためにうなぎを食べる人も少なくありませんが、あながち間違いではありません。

 とはいえ、コンビニで手軽に売られているものではありませんし、ちょっと予算が、という人にとって強い味方が豚肉です。豚キムチのおにぎりや、豚キムチ丼、豚のしょうが焼き丼など豚肉を使った食品は種類豊富。ハムも豚肉が材料に使われているので、サンドイッチの具材でハムが入ったものを選ぶだけでもビタミンB1を摂取することができます。

・夏場は「絹ごし豆腐」がおすすめ

 そして以外なところでは絹ごし豆腐。木綿豆腐はタンパク質が多く、絹ごし豆腐はビタミンB1が多いので、夏場は絹ごし豆腐を意識的に取るとよいでしょう。コンビニでも冷ややっこや、小さな豆腐を使ったサラダ、豆腐そうめんなどいろいろな食品が売られています。低カロリーで高タンパク、なおかつビタミンB1が摂取できる絹ごし豆腐はお手軽に手に取れる夏バテ予防食品です。

ちょっとの工夫でOK 夏バテ予防飯の選び方

 ビタミンB1を取った方がいい、というとそればかりを食べなきゃダメだ、と極端な発想を持つ人もいるかもしれませんが、その必要はありません。普段の食事に、ちょっと多めにビタミンB1を含めるだけでいい。

 例えば、麺類を食べるならばうどんや中華麺ではなく、そばにする。白米のおにぎりを玄米に変える。パスタを選ぶ時には脂肪分の多いカルボナーラではなく、豚肉を摂取できるミートソースに変える。牛乳を豆乳にする、運動後にお腹が空いた時の捕食として枝豆を食べるなど、ちょっとした工夫で十分、夏バテを予防することができるはずです。

 湿度や気温に加え、スポーツをすることで体には負担が掛かっています。疲労を蓄積し、体を酸化させないためにも、消化の悪い油類は避け、ビタミンCやビタミンB1、内側から体をきれいに、元気にしてくれる食品をうまく選ぶコツを身につけましょう。

川端理香プロフィール

管理栄養士。元日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ。スポーツ栄養Watsonia代表(http://kawabatarika.com/index.php)。Jリーグチームや選手、プロ野球、ゴルフ、柔道選手などのサポートをし、日本オリンピック委員会強化スタッフとして、全日本男子バレーボールチームなどを担当。トップアスリートからスポーツ愛好家まで、スポーツをする人の競技力アップのためのサポートに務めている。著書に『スポーツ選手の完全食事メニュー』『10代スポーツ選手の栄養と食事』『子供の身長を伸ばす栄養と食事』など
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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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