日本勢はトヨタ7位最高、日産リタイアも=ル・マン24時間レース中間総括

田口浩次

漫画でも描かれたスタートシーン

スタート前のグリッドには多くのゲストやスタッフが合流。クルマは“ル・マン式”に並べられ、スタートを迎える 【田口浩次】

 現地時間13日午後3時(日本時間同10時)、第83回ル・マン24時間レースがスタートした。全車が一体となってスタートに向けて走るとき、グランドスタンドでは映画「2001年宇宙の旅」のメインテーマ曲「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れ、会場全体の興奮が一気に高まる中、各車一斉にスタートした。この雰囲気はWEC(世界耐久選手権)の挑戦を漫画にした「眠れぬ虎(原作・村上もとか/漫画・千葉きよかず)」で初回の冒頭シーンとして紹介されている。漫画家の千葉きよかず氏も、昨年このスタートを目の当たりにして、漫画の冒頭シーンで描くことにしたのだという。

 きっと多くの人はレーススタートからチェッカーまでの24時間に注目しているだろうが、実はスタート2時間以上前にグリッドはオープンになり、多くのゲストやチームスタッフがグリッドへと出て行く。その人数は本当に多く、F1などで流れているグリッドシーンとは桁違いの人の数。そしてマシンが“ル・マン式”(グランドスタンドを向くようにマシンを一列に並べるスタイル)に並べられていく。

開始1時間後、最初のポイントはクラッシュ

前年総合王者のトヨタは予選で出遅れ、7番、8番手からスタート。決勝での逆転を狙う 【写真提供:トヨタ】

 レースがスタートすると、予選で強さを見せていたポルシェとアウディがひとつの集団となって先導していく。特にポルシェはチームプレーがしっかりとしていて、先頭を走るのは17号車、スタートの時点で他の2台はそれぞれアウディとトヨタの前に入って、17号車を前に逃がす。トヨタの2台はポルシェとアウディに続いた。予選タイムが1位の110%以上だったため、ペナルティーで最後尾スタートとなった日産の3台は、徐々に順位を上げるも、ほぼ同タイムで競う、ひとつ下のクラスであるLMP2マシンたちとのバトルとなり、序盤から厳しい戦いを強いられた。

 スタートから約30分ほどで、トップチームを含め各車徐々にピットイン。トップからの順位は変わらないものの、ここからは24時間レースならではのさまざまな外的要因が発生していく。その最初のポイントとなったのが、レベリオン・レーシングによるクラッシュ。スタートから1時間強が過ぎたところで、13号車のレベリオン・レーシングが接触でコースアウトした。この影響でセーフティカーが入り、ポルシェはそれまでのリードを失った。

 そしてスタートから約1時間20分でレースは再開。ここでアウディが仕掛けた。日本のレースでは中嶋一貴のチームメートとして、トムスでスーパーフォーミュラを戦う、7号車のアンドレ・ロッテラーが前を行く2台のポルシェを次々にオーバーテイクしてトップに立った。その後、7号車はピットインでトップを譲るが、会場のオーロラビジョンに流れる映像と、それを伝える現地解説は興奮しながら、その激しいバトルを伝えていた。

 スタートから1時間半以上が経ち、普通のレースならば1レースが終わっているほどの距離を走るも、トップチームたちの争いは24時間レースということを一切感じさせないほどに激しく競い合っていて、その雰囲気はすごく特殊な感じだ。
 というのも、チームはレースを戦っているが、ドライバーは3人体制のチームが多く、ひとりのドライバーが約3時間近くを走行するため、他の2人のドライバーは最大で6時間ほど休憩がある。気が張り詰めてはいけないのだろう、ドライバーはチームのホスピタリティテントでゲストたちと談笑しながらレースを観戦しているのだ。

 こうした雰囲気もまた、他のレースではなかなかあり得ない、ル・マン24時間レースならでは、だ。

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