宮間あやが語る澤との絆、代表への思い 女子W杯に挑むなでしこ主将<前編>
「攻守にアクションするサッカー」とは
アルガルベカップでは9位という不本意な結果に終わった。「攻守にアクションするサッカー」を実践するには、チームの連係がカギとなる 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
その言葉に一番必要なのは連係です。攻撃において、ボールを持った選手は基本的に1人。その選手がより多くの選択肢が持てるように、周りの選手がアクションを起こす。次のプレーを選択するのはボールホルダーであって、例えばパスを出したら、それ以外の選手が受け手になります。パスを受けた選手以外の周りの選手はさらにアクションを起こす。そうやって、相手にとって「日本の選手がたくさんいる」というイメージが植えつけられるプレーが、攻守にアクションすることです。守備においても同じ。どこにボールを運んでも、日本の選手に人数をかけられてしまう状態を作ることです。
――数的有利ともポゼッションとも違いますね。
「もうここにいるのか」と相手が思うようなプレーです。ですので、予測が一番大事です。予測をしてアクションを起こすというのが、佐々木監督の言う「攻守にアクションするサッカー」だととらえています。
――宮間選手が目指しているサッカーに近いですか。
自分は好きですね。次にボールが出るところへ、きちんと予測している選手がいるというのは。
――今の代表はダイレクトプレーにも取り組んでいますよね。
攻守の切り替えのところも含めて、ダイレクトにゴールに直結するプレーができれば、それが一番いいです。別にパスはワンタッチじゃなくてもいいと思います。奪った瞬間、ゴールに直結するポジショニングをとっている選手にパスが出せるかどうか。そういうイメージを持ってプレーしています。
――明らかに4年前とは違う戦い方ですね。
3月のアルガルベカップではミスがあったかもしれませんが、ボールをつなげる選手が多いので、相手を走らせて疲れさせるという意味で、きちんとボールを動かせる時間帯も作らなければいけない。ダイレクトプレーをやりながら、チームとしてリズムをつかめたらと思っています。
ドイツ大会では強みだった守備だが
取材を受ける宮間。女子W杯に臨むなでしこの課題などを鋭く分析した 【(株)T3】
大会前にもう少し入念に準備をしていくと思います。やはり日本の平均身長が低いというところはあるので、まずはいかにしてCKやFKを容易に与えないか。そういったところを強く意識していかなければなりません。
――芽を摘んでおくと。でも、いざそうなった場合は?
とにかく準備の早さと、あとはそこも予測です。相手が何をしてくるのか。背が低いからといって、私たちが触れられないボールが飛んでくるわけではありません。人がやることなので。とにかく少しでも、ズレを生じさせていくというか。早い準備と細かい作業が必要だと思っています。
――前回大会で強みだったのは、縦切りをして相手を中に追い込んで数的優位でボール奪取、そこからカウンターという戦い方です。ドイツ戦などは典型的でした。今回も有効でしょうか?
実際そこまで縦切りをバシッとできているわけではありません。基本的には自分がサイドに置いてもらう時には、後ろが有吉佐織選手(日テレ・ベレーザ)だったり鮫島彩選手(INAC神戸)なのですが、連係して、そういうことができるかなとは思っています。相手チームも、縦切りをした時にカットインをして中には当ててきません。カットインして裏までくるか、カットインしてサイドチェンジを選択してくることが今は多いです。
――そこまで引きつけておいて、わざと逆サイドへ。なでしこの裏を突いてくるのですね。
そうですね。カットインして突っ込んだら抑えられるというのを相手は分かっています。だから逆サイドの裏であったり、さらにもう一度サイドチェンジを仕掛けてきます。特にドイツやフランスはこういったプレーが多い。もう少し準備が必要です。
<後編(6月5日掲載予定)に続く>