イタミ・ヒデオが語るWWEでの夢「早くベルトを獲ってその先へ」

高木裕美

左肩のケガで試合はできないものの7月の日本公演への参加が発表されたイタミ・ヒデオ。WWEに入団してからの1年間、これからのビジョン、今回の日本公演の見どころなどを直撃した 【スポーツナビ】

 WWE日本公演「WWE Live 2015」(7月3日&4日、東京・両国国技館)を前に、日本人スーパースターのイタミ・ヒデオが来日。左肩を手術した直後ながら、精力的にPR活動を行った。

 かつてはKENTAのリングネームでプロレスリング・ノアのGHCヘビー級王者に君臨し、ノアのカリスマとして不動の地位を築いたが、「人生は一度しかない」と、昨年4月にノアを電撃退団。7月12日のWWE大阪大会では、ハルク・ホーガンの呼び込みで公開契約を行い、WWEの育成ブランドである「NXT」に加入。現地時間9月12日にイタミ・ヒデオとしてデビューを果たした。

 今年3月にはエイドリアン・ネヴィル(PAC)、フィン・ベイラー(プリンス・デヴィット)を倒し、同月29日に開催されたWWE年間最大の祭典「レッスルマニア31」(カリフォルニア州サンタクララ、リーバイス・スタジアム)にも出場。5月20日にはフロリダ州オーランドで行われたNXT特番「テイクオーバー:アンストッパブル」でNXT王座挑戦者決定戦に出場予定だったが、試合前に何者かに襲撃され、左肩を負傷。すぐに緊急手術が行われた。

 7月の日本公演への参加が発表され、復帰後のさらなる活躍が期待されるイタミ選手に、WWEに入団してからの1年間、これからのビジョン、今回の日本公演の見どころなどを直撃した。

【ドキュメンタリー映像】イタミ・ヒデオ、レッスルマニアへの道


(動画提供:©2015 WWE, Inc. All Rights Reserved.)

レッスルマニアは特別な時間だった

ことし3月に早くもWWE年間最大の祭典「レッスルマニア」に出場。WWEファンに強烈な印象を残した 【(C)2015 WWE、Inc. All Rights Reserved.】

 ――まずは、手術した左肩の具合はいかがですか?

 もともと、ちょこちょこ肩を痛めていたのもあって、アメリカで左肩を脱臼して、そこを駐車場で襲撃されたのが決定的になりましたね。

――写真で見たら、かなり大きな傷痕でしたが。

 自分でも「デカッ!」って。麻酔がかかっていたし、説明も英語だったんで、どれぐらいの手術だったか分からなかったけど、肩が外れた時に骨が欠けたり、腱を痛めたのを修復するための手術だったと聞いています。

――復帰の予定は。

 なるべく早く復帰したいです。自分でもレッスルマニアが終わって、上昇気流でこれからっていう時にNXT王座挑戦者決定戦のチャンスをもらって……。それをつかみ取りたいと思っていたので、悔しいです。

――レッスルマニアに参加した感想は?

 あれだけの人の前で試合をしたことはないし、緊張はしたけど、特別な時間でした。みんなが目標としている意味も分かりました。日本では東京ドームでも試合をしたことがあるけど、それ以上に大きい会場だし、世界中で配信されてる。会場で見ている7万人と、レンズの向こうにそれ以上の人がいるというのは、特別な空間でしたね。

不知火カレーはワガママな営業時間!?

かつての盟友・丸藤正道プロデュースの不知火カレーにはまだ行けてなく、少し残念そう…… 【スポーツナビ】

――日本への帰省はいつ以来となりますか。

 正月も、レッスルマニアの後も帰ってきてるけど、やっぱり日本はいいです。

――日本で食べたいものはありますか。

 寿司と焼肉かな。向こうの寿司もポピュラーだけど、やっぱり日本の寿司とはちょっと違うね。

――Twitterでもたびたびネタで登場している不知火カレー(ノアの丸藤正道がプロデュース)は食べに行きましたか?

 平日の昼しかやってないっていう、ワガママな営業時間なんで……まだですね。また機会があれば行きたい。写真で見るとおいしそうなんで。

――もともと日本食は好きでしたか?

 寿司も焼肉も大好き。さっきは鰻を食べたけど、やっぱりおいしかったですよ。向こうではパンケーキもワッフルもたまに食べるけど、やっぱり毎日は飽きるな。

――アメリカではラーメンとかも食べますか?

 向こうで札幌ラーメンのお店に入ったら、売りはトンコツで、貼ってあるポスターは熊本ラーメンだった(笑)。大将は熊本出身で、奥さんは札幌出身らしいです。

WWEで求められているものを模索中

かつて日本のマット界でも活躍したプリンス・デヴィットことフィン・ベイラーとも同時期にWWEに移籍し、お互い切磋琢磨している 【(C)2015 WWE、Inc. All Rights Reserved.】

――間を取らずに、両方出したって感じですね(笑)。ところで、昨年7月に公開契約を行ってから約1年経ちました。自分では短い、長い、どちらと感じますか?

 いろいろあったけど、済んでみればあっという間でした。良くも悪くも、いろいろあった1年だったし、1日1日を大事にしないと、ただ単に向こうに行ったというだけで満足しかねない。今、1年経って何も残せてないし、2年目は1年目以上のものを見せないといけないですね。

――当面の目標はNXT王座ですか?

 そうですね。1年目は何も絡めなくて、絡めるかもしれないって時にケガをしてしまったので、まずは目標としてベルトを獲りたい。

――NXTにはそうそうたるメンバーがいますが、交流はありますか?

 フィンは、いろんな部分で力を貸してくれますね。日本にいた期間が長いので、最初、英語が分からない部分とか、分かりやすく訳してくれました。

――フィン選手とは、レッスルマニア出場を決めるトーナメントで対戦の機会がありました。日本では確実に黄金カードとなる顔合わせで、日本流の濃密な技の攻防とは違う、ファイトスタイルの差に戸惑いはありませんでしたか?

 自分はまだ、WWEの中で求められているものは何か、何を見せられるのかを模索している最中。日本のファンの皆さんが「もっと見たい」と思う部分も理解できるし、ジレンマもあるけど、対戦を通じて探し続けていた部分もあるので、そこは難しいですね。

――日本との違いという部分では、フィニッシュホールドも変更されています。

 規制がかかる部分もあるけど、いろいろ改善されて、向こうでの部分と、自分が今までやってきた部分とがうまく融合できれば、やっていける手応えはあります。

――WWEでの活動については、長期的なスパンで考えているということですか。

 入れ替わりが激しい世界で、そんなに長く、いつまでもいられると思ってやっていません。安心してはいられない。同時期に入ったケビン・オーエンズとか、フィンとかとの差も開いちゃうわけだし、復帰したらなるべく早くベルトを獲って、さらにその先に行きたいです。

――将来的ににはWWE本戦に出たい思いはありますか?

 もちろん、NXTがブランドとして成長して、大きくなっていく中で、その一端を担えていることにやりがいを感じてもいるんだけど、『RAW』や『SMACK DOWN』に出場して、「マンデー・ナイト・ロウ」とかを毎週経験したい、世界中を旅しながら自分のパフォーマンスを見せたいという思いは強いです。

プ女子にはシナの肉体美がお薦め

シナの肉体美がプロレス女子にお薦めなど7月のWWE公演について見どころを語ってくれた 【スポーツナビ】

――アメリカでは、日本のマット界の情勢もチェックしているようですが。

 そうですね。全部は追い掛けてはいないですけど。

――師匠の小橋建太さんの奥様の第一子ご懐妊のニュースについては。

 めでたいですね。父親としては僕が先輩なので、何か分からないことがあれば、言ってくれれば相談には乗ろうかな、と(笑)。

――日本ではプロレス女子ブーム、いわゆるプ女子ブームというものも起こっています。

 噂では聞いてます。どこまでのものなのかは分からないですけど。外国人好きな女性もいると思うのでね。今年の日本公演に来るなら、シナの肉体美とか、きっと女性にはグッとくると思いますよ。

――7月の日本公演にはイタミ選手の参加も決定しました。

 自分も過去に何度か日本公演を観に行ったことがあるので、そこに日本人として参加できるのはうれしい。どういう形になるか分からないけど、楽しみにしてます。でも、本音を言えば試合はしたかった。次の時はしっかりコンディションを整えて試合をしたいですね。

――今回の日本公演には、外国人好きなプロレス女子や、イタミ選手目当てで来るWWE初心者の方も多いかと思います。そんな方々へのアピールポイントを教えてください。

 世界を股にかけるエンターテインメントなので、単純に楽しんでもらえると思います。日本とはまた違う、本場アメリカのショーが来た雰囲気に、プロレス女子の人も興奮できるんじゃないかな。年に1回のチャンスなので、ぜひ見に来てほしいです。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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