「コーチング」で進化したヤングジャパン ラグビーU20世界大会に挑む
強豪・オーストラリア、サモアに健闘
堀越主将(中央)を中心に成長を見せるU20日本代表 【斉藤健仁】
NZ戦ではキックを軸にスペースを攻められたという反省を踏まえて、大会に帯同していたペニー氏は、「ペンデュラム」という組織ディフェンスを導入する。直訳すれば「振り子」であり、相手の攻撃に対応して、バックスリーの3人とSH(スクラムハーフ)が左右に振り子のように動いて相手のスペースを埋めるという基本的な考えだ。ただ、BKの4人だけが理解していても、攻撃が継続されるとスペースが埋められない場合も多いため、大きなピッチの図の下、FWも含めた15人全員が理解し、動くことができるようにチームで取り組んだ。
すると「今年のチームは練習であまりやらなくても、ミーティングでやればできる。理解度が高い」と中竹HCが言うように、続くオーストラリア代表戦で、課題を修正し、31対47で敗戦したが、残り15分までリードするなど善戦。さらに3戦目、サモア代表戦では30対33と接戦を演じた。「本当に学びの多い遠征でしたし、選手たちは自信になったと思います」(中竹HC)
「シェイプ」、「ポッド」を組み合わせる
「トライを取り切りたい」と力強く語る尾崎晟也 【斉藤健仁】
「ここまでの強化は順調」と中竹HCは言うものの、U20年代と言え、ほぼプロ選手やそのアカデミーのみで構成されているチームも多い世界のトップ12の強豪が相手だ。中竹HCは「まだチーム状態は40%くらい。この世代は1年しか強化期間がないので、大会に行ってからどれくらい成長するかが大事」と伸びシロに大きな期待を寄せる。
中竹HC「残留という結果は必ず果たす」
今大会で結果を残し、19年ワールドカップ日本大会で中心を担うことが期待される 【斉藤健仁】
来年、日本代表に準じるチームがスーパーラグビーに参入し、2019年に日本でワールドカップを控えている。その中心を担う可能性の高いU20年代の強化の歩みを止めないためにも、U20チャンピオンシップで戦い続けることは大きな意味を持つ。初戦は6月2日、最終戦は20日である。イタリアでさらなる飛躍を遂げて、「残留」という目標を果たし、強化のバトンを次につなげるか。
【書籍紹介】「ラグビーは頭脳が9割」
【東邦出版】
日本代表のエディー・ジョーンズHCの言葉を借りれば、「JAPAN WAY」となる。幸い、トップリーグでは世界的名将と言われる監督たちが指揮をとり、日本人に適した形でラグビーの“国力”を上げてくれている。トップリーグだけでなく、大学や高校も戦略や戦術、新しい思考や取り組みを実践している。それぞれに共通するのは、経験豊かな指揮官が指導し、戦略や戦術を磨き、創意工夫して練習やトレーニングを積み重ねたからこそ、結果に結びついたこと。その強さの裏にあるチームがもつ信念、哲学も知ってもらいたい。
ラグビーの指導者や選手たちにとっては、自らのチームを少しでも強くするようなヒントやきっかけになり、ラグビー・ファンには、指導者や選手がどういった考えでプレーしているかを知り、スマートなラグビーに触れて、より「ラグビーが楽しい!」と思ってもらえる一冊だ。