阪神・梅野がエースの信頼を得る方法 若返るセ捕手を野口寿浩が解説(後編)

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打者の裏をかきたがるヤクルト・中村

相川が巨人に移籍し、すっかり正捕手に定着した中村(左)。石川、成瀬ら変化球を駆使する投手を今後はどのようにリードできるか 【写真は共同】

 ヤクルトでは、巨人にFA移籍した相川亮二の後を受け、7年目の中村悠平が43試合中36試合に先発出場し、すっかり正捕手に定着した。昨年はリーグワーストの4.62を記録したチーム防御率を向上させ、一時は首位を快走していたチームの躍進を支えた。また、2番手では5年目、パワフルな打撃にも魅力がある西田明央が1軍に定着している。

――ヤクルトは中村捕手がすっかり正捕手に定着しました。

 中村はディフェンス型で打者の裏をかくのが好きな捕手です。その特徴として真っすぐで見逃し三振を取るのが好きなんです。中日の谷繁(元信)さん、阪神の藤井もこのタイプです。ただ、それが一種の快感になって自分に酔ってしまいます。中村の場合、杉浦(稔大)と組むときにこの傾向が見られます。彼はコントロールが良いので、外の真っすぐで勝負して見逃し三振をとるシーンをよく見ます。これが1試合に1度、2度ならいいですが、何度もやると「追い込んだら真っすぐ」というのが打者も分かります。 

――正攻法のリードも必要、ということでしょうか?
 
(多彩な変化球がある)石川(雅規)、成瀬(善久)のようなタイプもいるので、いろいろなことができると思います。あまり快感に酔い過ぎず、自分が黒子に徹するリードをしてほしいですね。5月2日からの9連敗までは裏をかくリードがうまくいっていました。ただ、今は悪循環にはまりつつあります。やはり「裏の裏は表」ということを理解した方がいいでしょう。

――もう1人の西田捕手についてはいかがでしょう?

 真中満監督いわく西田は完全に攻撃型の選手で、「中村を脅かすのは西田のバッティングだ」と言っていました。完全にレギュラーを取るようになると、広島の會澤と合わせて、セ・リーグで強打の捕手が活躍する時代が来る可能性もあります。

守れなければ名捕手にあらず

――20代の若手捕手に努力してほしいことはありますか?

 捕手の全盛期は30歳を過ぎたころです。20代は勉強一筋。体が元気な20代のうちに送球とワンバウンドの処理を練習しておくべきです。そういったものを固めて経験をしながら、形になっていくのは30歳過ぎじゃないですかね。捕手はやり方によって長くやることも可能です。野村克也さんがおっしゃっていますが、捕手は守れてナンボです。

 名捕手と言えば古田敦也さん、谷繁さん、パ・リーグで言えば伊東(勤)さん(現千葉ロッテ監督)です。そこに近づきつつあるのが、東北楽天の嶋(基宏)ですね。今回、名前を挙げた捕手にも頑張ってほしいと思います。

野口寿浩氏プロフィール

ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーした野口寿浩氏 【スポーツナビ】

1971年6月24日生まれ。習志野高から1989年ドラフト外でヤクルトに入団。主に古田敦也の2番手捕手としてチームを支える。98年シーズン途中に日本ハムに移籍すると、正捕手の座をつかみオールスターにも2度出場。2003年に阪神に移籍すると2度のリーグ優勝に貢献、09年からは横浜でもプレーし、10年に現役引退。

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