北島康介も実践! 熱中症予防と対策 ポイントは「こまめに水分補給」

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ただの水だけではダメ、一度に大量摂取もNG

水分補給になぜ水だけでは不十分なのか? 【スポーツナビDo】

 セミナーではまず、日本救急医学会「熱中症に関する委員会」の委員長であり、昭和大学病院救命救急センターのセンター長である三宅康史教授が、水分補給の基礎知識を説明。1日に必要な水分量は2.5リットルであること、大量に汗をかいた際にミネラル(電解質)を含まない水だけを飲むと、体内に必要な水分を保持できなくなることなどを話した。

 なぜ、水分補給の際に水だけでは不十分なのか?という点については、下の図を参照してほしい。

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 人体には体液の量、体液の濃度、この2つを量るセンサーがあるため、体内の水分(体液)が少なくなったとき、ただ単に水を大量に飲めばいいというわけではない。一時的にノドの渇きは止まるものの、大量に水を摂取した分だけ体液濃度が下がり(薄くなり)、その濃度を回復しようと体内からまたすぐに水分を外に出してしまう。そのために再び体内の水分は不足してしまうというわけだ。

 よって、水分補給にはナトリウムなどの電解質を含むスポーツドリンクが適しているわけだが、水分補給の方法も重要だ。ノドが渇いたからと一度に大量の水分を摂るのはNG。これだと、先ほどの話と関連するが、急激に体液が薄まってしまうので摂取した水分はほとんど尿として排泄され、体内にとどまらない。

 そこで、水分補給の大事なポイントは“こまめに摂ること”。特にスポーツをしている人にとっては、その運動を始める少し前、そしてスポーツをしている最中は30分に1回程度の水分補給が必要と、三宅教授は説明した。

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「来年のオリンピックに向けて出発したい」

北島選手もマメな水分補給を心がけているという 【スポーツナビDo】

 北島選手も練習中の水分補給には特に気をつけているという。水中の競技なので汗をかいているかどうか分かりづらい面もあるが、それでも「ハードなトレーニングをしていると体が熱くなってきます」。それだけに、三宅教授が説明したように、北島選手もこまめな水分補給を心がけている。

「2時間ぐらいの練習で500ミリリットルから1リットルの水分補給をしているんですが、気をつけているのはタイミングですね。僕もこまめに飲むようにしていますし、なるべく練習中はノドが渇いたなと思わないようにしています。練習前からしっかり水分補給ができていると最後にもうひと踏ん張りできますから、水分補給の大切さを感じますね」

「僕もゼロからの出発。来年の五輪を目標に」 【スポーツナビDo】

 これは何も大人に限ったことではなく、スポーツを楽しむ子どもにとっても同じことだ。北島選手は水泳教室のイベントなどで子どもたちと接する機会も多く、その経験から「なるべく子どもに負担がかからないように気をつけていますし、普段からきちんと水分を摂るクセを覚えさせることも大事だと思います」と呼びかけた。

 さらにこのセミナーでは、5月18日にリニューアル発売された「アクエリアス ゼロ」も紹介され、北島選手は“ゼロ”にちなんだ言い回しで、あらためて現役続行と、2016年リオ五輪を目標にすることを宣言。「僕自身もゼロからの出発。来年のオリンピックに向けて出発したいですね」と意気込みを語った。

今年の夏も高温傾向

熱中症は予防と対策が大事 【スポーツナビDo】

 一方、熱中症はスポーツをしている最中だけに起きるものではなく、20〜50代の男性は仕事中に起きるシーンが最も多く、高齢者になると自宅で起きるシーンが半数以上を占めるという。熱中症には予防が何より大事であると語った三宅教授は、普段からできる対策として「今からどんどんクーラーを効かせるのではなく、暑さなれしていくこと」「食事というのは、その4〜6割が水分補給。3回食事を摂るということは定期的に水分、ミネラルを取れることですので、1日3回バランスのいい食事を摂ること」を挙げた。そして、「暑いときに体調が悪くなったら、すぐに熱中症を疑うこと」と、早期発見・早期治療の大切さを強調した。

今年の夏も暑くなりそうだ 【スポーツナビDo】

 また、気象予報士の澤口麻理さんもセミナーに出演し、今夏の傾向を予測。日本列島の西側に位置するチベット高気圧の勢力が例年と比べてやや弱いものの、東側に位置する太平洋高気圧が平年並みに日本列島に張り出してくるため、「今年の夏も高温傾向で暑くなりそうです」とのこと。6月〜8月の気温に関して、平年より高い日が北日本では30%、それ以外の地域では40%あると予測されるという。今年もまた暑くなりそうな夏に向けて、三宅教授が言うように熱中症予防・対策にはしっかり気をつけたい。
 なお、環境省のホームページでは「熱中症環境保健マニュアル」が無料でダウンロードできる。症状や応急処置、注意事項など、さらに熱中症対策に関して詳しく知りたいという人は、こちらを参照することもおすすめしたい。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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