フォルクスワーゲンF1参戦が現実に? 赤井邦彦の「エフワン見聞録」第41回
きっかけは会長の辞任
噂が再燃するVWグループのF1参戦。そのブランドは、やはり経験者を集めるアウディなのか? 【LAT Photographic】
VWグループは多くの自動車ブランドを有するコングロマリットとも呼べる企業体だが、その核をなすのはVW、アウディ、ポルシェの3大ブランドだ。現在これらのブランドは、VWがWRC(世界ラリー選手権)、アウディはWEC(世界耐久選手権)とDTM(ドイツツーリングカー選手権)、ポルシェはWECでモータースポーツ活動を行っている。
VWブランドがF1へ出て行く噂は数年前からあり、その先鋒(せんぽう)はアウディということだった。アウディはル・マンをはじめとする耐久レースで連戦連勝の大記録を打ち立て、次のステップを模索中だと伝えられた。そして、その噂を後押ししたのがポルシェのWEC参戦で、それが実現した今、同じVWグループの中から2社が同じシリーズに出て行く意味はないだろうとの見解が語られた。ポルシェがWEC、アウディがF1と言われたのはそうした理由による。まあ、理論的には筋道が通っている。
アウディとポルシェがWECに出続ける理由
そこにアウディもポルシェもWECで戦うことに価値を見いだしている。ましてやクルマの形状もフォーミュラと比べると市販車に近い。そして、アウディがWECから撤退しない決定的な理由は「ポルシェが勝ってもアウディは売れない」というアウディチーム代表の言葉だ。アウディが売れるためには、WECでアウディがポルシェを破ることが重要なのだ。戦いの場にグループ意識はない。