フォルクスワーゲンF1参戦が現実に? 赤井邦彦の「エフワン見聞録」第41回

赤井邦彦/AUTOSPORTweb

エクレストン氏より先に辞任したピエヒ氏

 以前、ピエヒ元会長がポルシェをF1に送り出したい意向があると書いたが、これには条件があった。フォーミュラワングループ最高責任者のバーニー・エクレストン氏の勇退だ。ピエヒ元会長はエクレストンが主導する商業主義丸出しのF1に我慢ができず、彼がF1を牛耳るのをやめればVWグループとして参戦したい、との意向を持っていた。そこには、F1が自動車メーカーにとって技術的意味を持つという理由が欲しかった。

 ところが、エクレストンが辞める前にピエヒ元会長が辞めてしまった。これをきっかけにVWグループのF1参戦が再び噂に上ったのは当然といえば当然だろう。そこにはいくつもの伏線があった。

後継候補にはモータースポーツの推進者も

 まず、ピエヒ元会長の後継者として名前の挙がっているVWのマーティン・ヴィンターコルンCEOはかつてアウディの会長で、モータースポーツ活動の推進者。アウディがWEC及びDTM活動を活発に行えるのは彼のおかげとか。そのヴィンターコルン氏がVWグループ全体を見るようになれば、アウディ、ポルシェのF1活動の噂も真実味を帯びるということだ。

 中でもアウディのF1参戦がポルシェに増して語られるのは、昨年末にアウディが雇用した3人のF1経験者のせいだろう。1人目はフェラーリの元チーム代表であるステファノ・ドメニカリ、2人目はBMWやウィリアムズでエンジニアを務めたヨルグ・ザンダー、3人目はフェラーリのシミュレーター・エンジニア、ガブリエル・ドリフリ。F1への参戦が念頭になければ、こうしたF1経験者のリクルートは何を意味するのだろうか?(ただし、スパ・フランコルシャンで行われていたWECの会場で、アウディ関係者はF1参戦を再び否定した)

 さて、ピエヒ元会長が去ったVWグループのF1参戦はあるのか? あるとしたらそれはいつのことか? 2018年という噂は、果たして真実なのだろうか? また、その時に出てくるのはアウディか、はたまたポルシェか?

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著者プロフィール

赤井邦彦:世界中を縦横無尽に飛び回り、F1やWECを中心に取材するジャーナリスト。F1関連を中心に、自動車業界や航空業界などに関する著書多数。Twitter(@akaikunihiko)やFacebookを活用した、歯に衣着せぬ(本人曰く「歯に衣着せる」)物言いにも注目。2013年3月より本連載『エフワン見聞録』を開始。月2回の更新予定である。

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