絶対速くなるインターバルトレーニング 青山剛のランニングナビ

青山剛

遅いランナーが走り込んでも速くはならない!?

 一般ランナーの場合、一年中「月間走行距離」にこだわり、その量とフルマラソンの記録が比例していると信じ切っている方が多いようです。もちろん走らないより走った方がいいに決まっていますが、私からスバッと言わせてもらえば、「遅いランナーが走り込んでも速くはならない」のです。走り込めば持っているスピードの持続時間は長くなりますが、根本のスピードが上がるわけではないので、いずれ頭打ちになるというわけです。

 従って、この春の目標である「5キロを速く走れるようになる=根本の走るスピードアップ」に向けて、今月は陸上選手の王道スピード練習のインターバルトレーニングを紹介します。

「頑張って速く走る+ゆっくりジョギング」を繰り返す

 インターバルトレーニングとは「頑張って速く走る+ゆっくりジョギング」を繰り返すトレーニングで、ちょっと苦しいトレーニングなわけです。頑張って走った後、休み過ぎず「不完全休息」のジョギングでつなぎ、次の本数がスタートするわけですから、苦しくて当然です。

 例えば、400m×10本を走る場合、400mは5キロ走で狙うタイムのペースより「やや速いタイム」を設定して走ります。その間のジョギングはたいだい200m位でつなぎ、休み切る前に次本数をスタート、こんな感じです。

 このトレーニングをすることによって、心肺機能の向上=スピードアップがかなり期待でき、疲労物質(乳酸など)の除去能力が格段と高まります。

インターバルトレーニングのポイントとは?

【青山剛】

 しかし、聞くだけで苦しそうなトレーニングですから、一般ランナーの大半はこれまで避けてきたはずです。ですが、やはり何事も避けてきたところに伸びシロがあるわけですから、ぜひ取り組んでほしい。そこで今回は、一般ランナーでもやりやすい「絶対速くなるインターバルトレーニング」方法を紹介します。
<インターバルトレーニングのポイント>
・総距離は5キロ前後になるように設定
-500m×10本
-1キロ×5本
など

・設定ペースは5キロ走で狙うタイムよりやや速いくらいで
(例)5キロを20分で走ることが目標の場合
-500m×10本(1分55秒〜58秒)
-1キロ×5本(3分55〜57秒)

・つなぎのジョギングは「半分の時間(距離ではなく)くらい」で
(例)5キロを20分で走ることが目標の場合
-500m×10本(1分55秒〜58秒)=つなぎは1分前後でジョギング
-1キロ×5本(3分55〜57秒)=つなぎは2分前後でジョギング

・心拍計を使う場合は、つなぎのジョギングで30拍くらい落とすように

・距離表示やトラックが使えない場合は、時間で行う。
-2分走×10本(1分ジョギングでつなぐ)、4分走×5本(2分ジョギングでつなぐ)

 また、これまでインターバルトレーニングをあまり行ったことのない方の特徴として、1本目から頑張り過ぎて、中盤以降失速するパターンが圧倒的です。こうなると効果も半減してしまいますので、その場合下記のような設定で行うと、正しくトレーニング効果が得られます。

(例)5キロを20分で走ることが目標の場合
-500m×10本(つなぎは150〜200mジョギング)
-1〜3本で徐々にターゲットタイムに上げて行く
-1本目:2分03秒、2本目:1分59秒、3本目:1分57秒くらい目安
-4〜10本をイーブンで走る(=1分55〜58秒キープ)

5月の週間トレーニングメニュー

【青山剛】

 最後にインターバルトレーニングを導入した、5月の週間トレーニング例です。
※平日×1日、週末×2日の計3回練習を基本とした例

<平日>
-500m×10本 or 2分走×10本
→慣れてきたら1キロ走×5本も導入可

・走る前には、ストレッチ、体幹スイッチをしっかり行う
・ウォーミングアップは15分ジョギング+ウィンドスプリント100m×4〜6本
・クーリングダウンも15分ジョギング、ストレッチをしっかり行う

<週末>
土曜
-ジョギング60分前後+ウィンドスプリント100m×6〜8本
・ストレッチ、体幹スイッチは平日同様

日曜
-5キロペース走 or 疲れていればジョギング60分前後
・5キロペース走は「ハーフマラソンペース」くらいのちょっときついペースで=5キロの目標ペース+キロ15秒遅いくらいで 
・ストレッチ、体幹スイッチは平日同様
・ウォーミングアップ、クーリングダウンも平日同様

 このインターバルトレーニングはもちろん体に負荷がかかり、必然的に負担も増えてきますので、これまで以上にストレッチ、体幹スイッチをしっかり行ってください。5キロペース走は「苦しいけど、いっぱいいっぱいではない」くらいで走ります。
 これまで取り組んだことのなかったランナーほど、毎回行う度に進歩が感じられるくらい効果が実感できますので、“正しく苦しんで”スピードアップを目指していきましょう!

※体幹スイッチが学べる「青山剛ランニングセミナー」を毎月開催。詳しくはTeamAOYAMAホームページまで!

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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