36歳の藤原あらし「上が見えてきた」=ルンピニー再挑戦に判定負けも手応え十分

長谷川亮

ルンピニー3階級制覇王者との一戦

2度目のルンピニー挑戦となった36歳のベテラン藤原あらし。判定負けを喫したものの、「上が見えてきた」と不屈の闘志を見せた 【長谷川亮】

 ムエタイ国内軽量級のトップランナーで、日本人初のルンピニースタジアム王者を目指す36歳のベテラン藤原あらしが5日、「蹴拳25」(東京・ディファ有明)でゲンガー・ポー・ペッコー(タイ)の持つ同スタジアムスーパーフライ級王座に挑んだ。

 昨年10月にも同スタジアムの王座に挑んだあらしだったが、この時は2階級上となるスーパーバンタム級での挑戦。王者ナッタポン・ナーチュアウイッタヤコムの右ミドルと前蹴りに阻まれ敗れたが、今回は自身の適正階級というべきスーパーフライ級で、1月にランキング査定試合をクリアしての再挑戦となった。今回の相手となるゲンガーは身長164センチの21歳で、125戦98勝27敗。ルンピニーでスーパーフライだけでなくミニフライとライトフライ級の3階級を制している。

接近戦のヒジで右目下を流血

接近戦でヒジを振るってあらしの右目下を切り裂いた王者ゲンガー 【長谷川亮】

 サウスポーのあらしに対し右ハイ、右ストレートをタイミングよく決め、初回から2度のスリップダウンを奪っていく。あらしも「スピードに面食らいました」と言いながらも得意の左ミドルと左ローを中心に反撃を始めるが(2R)、ゲンガーは3Rから戦略を変え組み付いての戦いを徹底する。

 そこからヒザ蹴りでくるのかと思いきや、接近戦でヒジを振るってあらしの右目下を切り裂き(3R)、これであらしの意識が顔に行くと、今度は組んだ展開からあらしをコカし、マットに叩きつけていく。4Rも組みに来るゲンガーに、あらしは右フックを当ててグラつかせ、さらにパンチに力を込める。しかしゲンガーは距離を潰して巧みに組み付き、そこからまたヒジを振るってあらしを襲う。

0−3の判定負けも手応え十分

最終ラウンドではゲンガーをロープに詰めてパンチとローで攻めるも、ダウンを奪うには至らなかった 【長谷川亮】

 最終5Rは流しに入ったゲンガーをあらしはロープに詰めてパンチとローで攻め、ストレートを当てアゴを上げさせるが、ダウンを奪い挽回するには至らず試合終了。3者49−47をつける判定でゲンガーが防衛に成功し、あらし2度目のルンピニー王座挑戦は実らなかった。

 しかし、敗れたあらしだが同時に手応えもあったようで、控室では「上が見えてきました」「また楽しくなってきた」と語り、高い山を目指す者にふさわしい不屈の精神を見せていた。

■あらし「自分がたどってきた道は間違ってなかった」

「上が見えてきました。あと1、2年かなと思います。2、3階級制覇している人間があれぐらいなので、自分がたどってきた道は間違ってなかったと思います。

 スピードに面食らいました。(1Rのハイキックが)あんな上から来るとは思わなかった。(3R以降の)首相撲は想定していた通りで、それなりに対応できたし、そんなに負けてはいなかったと思います。明らかなダメージはないし、(ポイントになったのは)顔を切られたのとコカされたのですかね。右フックは当たったし、蹴り返しもできたので、あと2年以内にチャレンジできれば、今回以上の結果が出せると思います。

(次の試合が決まってますが)続投ですね。止まってられないですよ。止まったらすぐダラけるので。また楽しくなってきました」

結果

 そのほか、大会の全試合結果は以下の通り。

■「蹴拳25」
4月5日(日)東京・ディファ有明

<第15試合 メインイベント ルンピニースタジアム認定スーパーフライ級タイトルマッチ 3分5R>
○ゲンガー・ポーペッコー(タイ/ルンピニースタジアム認定スーパーフライ級王者)
(判定3−0)
●藤原あらし(バンゲリングベイ恵比寿/元WPMF世界スーパーバンタム級王者、元WBC日本バンタム級王者/挑戦者)
※3者49−47

<第14試合 セミファイナル ルンピニースタジアム認定スーパーバンタム級ランキング査定試合 3分5R>
○ウィサンレック・シィータンカッヴァリー(タイ/元ルンピニースタジアム認定バンタム級王者、元ルンピニースタジアム認定フライ級王者、元オムノーイスタジアム王者、元WMC王者)
(2R2分52秒 KO)
●野呂裕貴(エスジム/MuayThaiOpenスーパーバンタム級王者、元WPMF日本バンタム級王者、元NKBバンタム級王者)

<第13試合 蹴拳ムエタイ初代スーパーフェザー級王座決定戦 3分5R>
△津橋雅祥 (エスジム)
(ドロー)
△増倉敦士(TRY―EX KICKBOXING GYM)
※49−48(増倉)、49−48(津橋)、48−48

<第12試合 蹴拳ムエタイ初代ウェルター級王座決定戦 3分5R>
○虎宇輝(Y'ZD GYM)
(判定2−1)
●CAZ JANJIRA(JANJIRA GYM)
※49−48(虎宇輝)、49−48(CAZ)、49−48(虎宇輝)

<第11試合 蹴拳ムエタイ初代スーパーライト級王座決定戦 3分5R>
○RYOTA(777GYM)
(判定2−1)
●平野将志(インスパイヤードモーション)
※49−48(RYOTA)、49−48(平野)、48−47(RYOTA)

<第10試合 蹴拳インプレッションルール 初代ヘビー級王者決定戦 3分5R>
○野尻和暉(RANGER GYM)
(判定3−0)
●ダビデ篤志(BLUEDOG GYM)
※3者49−48

<第9試合 蹴拳ムエタイルール ライトヘビー級 3分3R>
○SHOHEI(フリー)
(2R2分45秒 TKO)
●ヨームートン・ポンピンジー(カンボジア)

<第8試合 蹴拳ムエタイルール バンタム級次期挑戦者決定戦 3分3R延長1R>
○千吉良恭平(リーブルロア)
(判定2−0)
●勝也(JTクラブジム)
※29−29、29−28、29−28

<第7試合 蹴拳ムエタイルール 52.5kg契約 3分3R>
○岩波悠弥(橋本道場)
(判定2−1)
●エイクノーイ・ロンポージム (タイ)
※29−28(エイクノーイ)、29−28(岩波)、30−29(岩波)

<第6試合 蹴拳ムエタイルール ライト級 3分3R>
○コンゲンチャイ・エスジム(エスジム)
(1R2分30秒 TKO)
●久保政哉(PHOENIX)

<第5試合 蹴拳ムエタイルール 76kg契約 3分3R>
○星野伸之(エスジム)
(2R2分05秒 TKO)
●巻淵淳(フリー)

<第4試合 蹴拳女子インプレッションルール 57kg契約 2分3R>
○小澤聡子(チームドラゴン)
(判定3−0)
●高橋美優美(錬武館上尾道場)
※30−29、30−29、30−28

<第3試合 蹴拳ムエタイルール スーパーバンタム級 3分3R>
○大山拓也(インスパイヤードモーション)
(判定3−0)
●間中壱星(姉崎ジム)
※30−27、30−27、30−28

<第2試合 蹴拳ムエタイルール ウェルター級 3分3R>
○KAN(エスジム)
(3R1分57秒 TKO)
●及川健司(正心会)

<第1試合 蹴拳ムエタイルール スーパーライト級 3分3R>
○♂刈る。(PHOENIX)
(判定3−0)
●岩橋伸太郎(エスジム)
※30−29、30−28、30−28
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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