川淵「新リーグの略称は『JPBL』」=第3回タスクフォース後のチーム説明会

スポーツナビ

チーム説明会での質疑応答(4)

参加要件が書かれた資料に目を通す各チームの代表者たち。説明後は、多くの質問が飛び出した 【スポーツナビ】

川淵「リーグのトップはJBA副会長などになるべき」

(司会者より「時間が来たためここで終了とします」とアナウンスがあり、一時説明会が終了し、参加者が席を立ちかける)

川淵 まだ時間があるのに何で終わらせる必要がある? 本当にもう聞きたい事は無いのか? なるべく話を聞かないでおこうなんて思っていないから。話を早く打ち切ろうというところが虫がすかん。

――財務状況について。新リーグに入会金を設けるという話だが、金額や決まる時期、納付の時期などはいつ頃決まるのか?(信州ブレイブウォリアーズ/bjリーグ)

川淵 それはいつ決まるとは言えません。どれだけの協賛金が集まるのかが見えない。それが見えたらいろいろなことが決まる。年会費というのは、協会事務局を運営する費用を年会費から出すのが大前提ですから。どれくらいになるのかは分からないけれど、配当金を多く配ることができると思ったら多少(多く)の金額をもらってもいいかもしれない。配当金が少ないのに、同じ額をもらうというのは考えられない。基本的には皆さんにプラス、収入が入るように考えています。それもマーケットがどのように反応するかによって決まるので、今は何とも言えません。でも、少なくとも入会金と年会費は最低限もらわないと事務局はやっていけませんから。それはある程度いけるのではないかと思っています。

――カーディングとアリーナに関して。週末の2連戦は認められるのか?(信州ブレイブウォリアーズ/bjリーグ)

川淵 それは皆さんで後で決めればいいと思います。そこまで僕が決める必要はない。僕はあんまり細かいところまで言いません。皆さんで委員会を作って、皆さんで決めればいい。

――新しいリーグができてJBAと友好的な関係でプロリーグも発展すると思う。(タスクフォースで協議している)ガバナンスの項目内にある、(新リーグの)評議委員にチームから入るというのは画期的だと思う。社団で新リーグが立ち上がり、協会との人的交流に関してはどのように考えているのか?(仙台89ERS/bjリーグ)

川淵 「JBAは理事を少なくしろ」と(FIBAに)言われていて、スタートの段階では6人くらいでやる。そこでしっかりしたガバナンスを獲得した上で、17年からはそれなりの(人数の)理事でやっていこうと思っています。その場合に、少なくともリーグから4人か5人は(JBAの)理事の中に入っていくべきだと思っています。トップリーグのトップは、JBAの副会長などのポジションに入るべきだと思っている。少なくとも、最低でも何人かの交流は絶対にしなくてはいけないと思っているし、そうするつもりです。

バイス 一つ補足させていただく。FIBAとして、JBAとリーグのコミュニケーションを大変重要視している。共同して動いていくことで、2つの組織だが“バスケットの声”が一つになるというように持っていくことが大前提だ。われわれとしては、JBAの評議委員会にリーグの代表者が参加することを重要視している。これによりコミュニケーションがより良くなり、決定の段階でチームの皆さん、リーグが何かしらの形で参加しているようにしていきたい。

 評議員をどう決めるかは皆さんが協議して決めることだ。先ほど川淵さんもおっしゃったが、細かい部分について意見があるときは、皆さんで協議し「こうやってみてはどうだろう」という意見を書面にしてみてほしい。前回も言ったが、今回新しく組織改革をする中で、FIBAがトップにあり、その下にJBA、その下にリーグがある。一つのバスケットボールファミリーが構成されるということを重要視している。

チーム説明会での質疑応答(5)

年間試合数の8割を実施できるホームアリーナの確保が必要となる。行政との協力が不可欠だ 【写真:アフロスポーツ】

バイス「問題があるようなら私が解決するために駆けつける」

――試合会場に関して。県単位で各体育館でやった方が良いと球団が判断した場合は、ホームゲーム8割という考え方として認められるのか?(福島ファイヤーボンズ/bjリーグ)

川淵 それは認められない。それでは意味がない。ホームタウンは固定したアリーナであって、さっき言った「(京都の例の)2つの……」というのは特殊な場合で、例外的に認めていいかなということ。県の中で回るということは認められません。

――今一番の違和感があるのはホームタウン制、会場の規模について。田舎者なもの、条件に合う建物が無いし、県内の移動でも地下鉄があるわけではなく3〜4時間かかる。地方で試合を開催することがわれわれの基本になっている。(そのような運営方法で)bjリーグでも6位か7位の観客数をなんとか確保している。アクセスの条件を考えると5千人確保できるかと言ったら難しい。なんとかホームアリーナ8割というタガは外してほしい。(青森ワッツ/bjリーグ)

川淵 楽な方にという言い方をしたらなんですが、過去はそうだったんだけれど、これからどうするかという話でしょう? 過去の常識がこうだったからこれ以上できないというところから脱皮しないと、バスケットボール界は発展しませんよ。こうしましょうという提案です。今の現状から見たら明らかにダメで、自分のクラブはとてもやっていけないと考えているかもしれないけれど、その壁を乗り越えないと。

 青森は雪国で、冬場の娯楽としてバスケットは最高の競技ですよね。そういったものを青森の中で育てていこうという気持ちで取り組んでいただかないと。巡業しないとお客さんが集まらないではなくて、一つの所にホームアリーナを作ることによって、年間でホームの30試合に集めるんだという強い意志の元に成功させないと。これは青森だけでなくすべての皆さんに言える話です。僕がいろいろ聞いていて気に入らないのは、タダでお客さんを入れて、何でプロなんだ? ということです。そういうところから考え方を変えないと、このプロバスケットボールリーグは成功しないと思います。覚悟をしてほしい。それは大変だと思います。皆さんの現状から見ると、非常に辛いことでしょう。それを乗り越えてほしいということなんです。それしか言いようがないですね。

バイス 皆さんにもう一度アピールしたい。われわれは日本のバスケットを「前に持っていく」ために活動している。過去を振り返らないでほしい。24年に向けて、日本のバスケをいかに盛り上げていけるかということで活動している。もし地方などで問題があるようなら言ってほしい。私が解決するために駆けつける。実際に自分が雪かきだってする。コーンを立てるための手助けだってする。必要ならば知事とも話をする。後ろを向くのではなく、新しいことを自分たちが何をできるのかを考えてほしい。その上でどうしても問題が解決できないことがあれば、いつでも私の方で皆さんのお手伝いをする用意がある。

川淵 少しアリーナの話をしたいんだけれど、一番初めに全部のアリーナの収容人員を調べて、(収容人数のハードルを)4千人くらいと言おうと思っていた。しかし、せっかくこういうチャンスに自治体が動くかも分からないのに、4千人じゃバスケットボール協会が絶対に得をしないなと思った。だから5千人と思い切って言った。5千人と言った時、皆さんできないとお考えだったでしょう? でももう10以上(の行政)が実際に動いてくれているんです。本当は8千とか1万と言いたいんです。NBAみたいにというのは無理だけれど、将来は8千人とか1万人(収容可能)のアリーナを作るくらいの気概を持って、最低の5千人と言っているんです。それは皆さんがこういうチャンスをモノにする、2度と無いきっかけなんです。

(バイス・コーチェアマンが川淵チェアマンの方を向き笑顔でグッドのポーズを見せる)

 磔(はりつけ)になっても動かない方もいるようですが、ほとんどの人が前向きに考えてくれています。例えば青森県が今のアリーナがどうで、どうしても限界があるとなった時、それについてどういうふうに、ぎりぎりまで増やしたらどこまでいくのか、ということをわれわれに相談してくれたら、知事に頼みに行ったりいろいろなことができる。そういう時に、大いに僕を利用してください。5千人と言って、よく言うわという顔をされていたようだけれど、それが今は変わってきましたよ。皆さんもお分かりでしょう? タダの切符を(配るようなことは)来年度から一切してはまずいですよ、プロの姿勢として、ということです。

――1回目のタスクフォース会議の時に「長野と北海道は広いから、複数のフランチャイズのような形でもいいのではないか」と川淵さんがおっしゃったと思う。青森のように複数会場で8割を占めるというのは、マーケティングの中で北海道の場合は複数会場が絶対に必要だと思っている。その場合でも、複数会場という考え方は難しいのか?(レバンガ北海道/NBL)

川淵 その時はサービスで言ったんですよ(場内笑)。僕だって(言葉を)使い分けたりするから。でも、札幌ドームには北海道の全部から集まってきている。北海道全体を回りたいと言う必要は無いですよね?

――函館にこの8月に5千人収容のアリーナがオープンします。来年、函館新幹線も通ります。いろいろなマーケティングの上で、函館にアリーナがあるのであれば、そこでもぜひ開催するべきと思っています。もちろん札幌には5千人規模を2つ確保しようと動いています。それを合わせて8割と認めていただきたい。(レバンガ北海道/NBL)

川淵 函館に将来プロバスケットボールチームはできないの?

――(その可能性は)あると思います。(レバンガ北海道/NBL)

川淵 さっき言った京都市と府の関係は「片一方にするのは酷だな」と僕個人では思っている。そういうことが認められるかどうかは、実行委員会というか、1部リーグのチームが決まった時に、最後に決めていくんでしょうね。僕が決めるのではなくて。

――仮に初年度トップリーグが16チームでスタートした場合、2年目から16チームというしばりは無くなるのか? それとも当面は16チームで行くのか?(ライジング福岡/bjリーグ)

川淵 Jリーグは10チームからスタートして、僕のイメージでは「2年後に人気があれば2チームくらい増やしていいかな」と思っていたのが、1年目から2チームずつどんどん増えていきました。反響やその他を見て、状況を見ながらリーグの実行委員会や理事会で決めていけばいいことだと思います。

4/4ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント