K−1王者ゲーオがムエタイで流血辛勝=4.19K−1の野杁戦に不安も「出たい」

長谷川亮

66kg契約でヒジ・ヒザ解禁

4月19日にK−1野杁戦を控え、ムエタイルールでの健太戦に臨んだゲーオ。5Rこそ8針縫うカットを奪われたが、判定3−0で勝利した 【長谷川亮】

「WPMF JAPAN × REBELS合同興行」が22日、東京・ディファ有明で開催された。

 メインイベントにはK−1 WORLD GP−65kg級初代王者のゲーオ・フェアテックスが登場し、ヒジ・ヒザを解禁したムエタイルールでWBCムエタイ日本ウェルター級王者の健太と66kg契約で対戦。2005年7月の日本初登場から9年、日本人無敗と強さを誇ったゲーオだが、今年1月にK−1で木村“フィリップ”ミノルにダウンを奪われ敗戦。4月には再びK−1で野杁正明戦が決まっており、まずはそのテクニックが全開となるルールで再起を期す一戦となった。

 昨年2月の石井宏樹の引退試合ではスーパーライト級で戦うなど60kg前後から階級を上げてきたゲーオに対して、初代Krushー70kg級王者の健太は階級を下げてきた。ゲーオは昨年11月の山崎秀晃戦を思わせるように、試合が始まるや得意の左ハイキックで健太を急襲。その後も、離れては上・中・下どこに来るか軌道が読みづらい左の蹴り、近づいては左ストレートと体格・パワーこそ健太に劣るものの、距離に応じた巧みな攻撃の使い分けで試合の主導権を握る。

 この試合、ゲーオが健太に効かせたのは首相撲で組んでからのヒザ蹴り。組み合いこそ遜色なく渡り合った健太だが、ヒザでの有効打ではゲーオが上回り、健太はラウンド終盤にはヒザを嫌がり、組みながらも体が横向きになってしまう(2、3R)。

5Rに健太の縦ヒジで8針の流血

健太も果敢にヒジで立ち向かい、ゲーオの額に8針を縫う傷を負わせた 【長谷川亮】

 しかし、組みを多用するゲーオに対し、健太も接近戦でヒジを振るって応戦。だが、目のいいゲーオは接近戦でもヒジを当てさせず、やはり組んだ状態からのヒザを当てていく(4R)。

 このままゲーオが判定勝ちかと思われた5R、健太はゲーオが組みに来るのを見て取り、右縦ヒジを突き上げると額をカット。試合続行もあわやと思われるほど深く広く、ゲーオを切り裂く。

 ドクターチェックの後で何とか試合続行となり、健太はゲーオの蹴りを意に介さず前に出て追撃を与えんとするが、ゲーオは顔へのヒットをその後は許さず試合終了。5Rこそカットを奪われピンチに陥ったが、49−48、49−47、50−48の判定3−0で健太を退けた。

 額の傷を8針縫ったゲーオは、「大きくて頑丈でスタミナがあった」と対戦相手の健太を称え、4月の野杁戦に関しては「治り具合によるけどやりたい」とコメント。なお、約200戦とも言われる戦績を持つゲーオだが、ヒジでカットされたのは5月に内山高志の持つWBA世界スーパーフェザー級王座に挑戦するジョムトーン・チューワッタナ戦(09年6月)以来のことであるという。

森井はタイの強豪にKO負け

タイの強豪シントンノーイ・ポーティラックンが森井に5R・KO勝ち 【長谷川亮】

 また、セミファイナルでは森井洋介が昨年梅野源治とドローを演じたタイの強豪シントンノーイ・ポーティラックンと対戦し、攻撃的な森井に対し、シントンノーイもガードを固めてヒジとヒザで応戦して大激闘を展開。パンチ&ローに回転ヒジも繰り出しシントンノーイに迫った森井だが、5Rコーナーに詰めて連打を集めたところでシントンノーイが左ハイを放って打ち抜き、劇的なKOでの決着となった。

 そのほか、大会の試合結果は以下の通り。

■「WPMF JAPAN × REBELS合同興行」
3月22日(日)東京・ディファ有明

<第12試合 メインイベント 66kg契約 3分5R>
○ゲーオ・フェアテックス(タイ/フェアテックス/WPMF世界スーパーライト級王者、K−1 WORLD GP −65kg級王者、元ルンピニー認定フェザー級王者)
(判定3−0)
●健太(E.S.G./WBCムエタイ日本ウェルター級王者)
※49−48、49−47、50−48

<第11試合 スーパーフェザー級 3分5R>
○シントンノーイ・ポー・テラクン(タイ/ワンソンチャイ・ボクシングプロモーション/元ルンピニー認定スーパーフェザー級6位)
(5R2分40秒 KO)
●森井洋介(藤原ジム/Bigbangキックルール・スーパーフェザー級王者)

<第10試合 64kg契約 3分3R(延長1R)>
○ボーウィー・ソー・ウドムソン(タイ/元ラジャダムナン認定フライ級王者)
(2R0分45秒 TKO)
●加藤剛士(WSRフェアテックス池袋/WPMF日本スーパーライト級王者)

<第9試合 61kg契約 3分3R(延長1R)>
○デンサイアム・ルークプラバーツ(タイ/元ルンピニー&WMC世界バンタム級王者)
(2R2分06秒 TKO)
●遠藤信玄(K−1ジム目黒 TEAM TIGER/WPMF日本ライト王者)

<第8試合 56kg契約 3分3R(延長1R)>
○小笠原裕典(クロスポイント吉祥寺)
(判定3−0)
●鷹大(WSRフェアテックス蕨/WMC世界&WPMF日本スーパーバンタム級王者)
※30−28、29−28、29−28

<第7試合 女子ピン級 2分5R>
○Little Tiger(WSRフェアテックス三ノ輪/WPMF&WMC世界女子ピン級王者、WBCムエタイ女子インターナショナルアトム級王者)
(4R1分45秒 TKO)
●ノンパウ・ポーピータックチャイ(タイ)

<第6試合 スーパーライト級 3分3R(延長1R)>
○NOBU BRAVERY(BRAVERY GYM/WPMF日本4位)
(判定2−0)
●杉本卓也(WSRフェアテックス三ノ輪/WPMF日本ライト級7位)
※29−28、29−28、29−29

<第5試合 スーパーライト級 3分3R(延長1R)>
○秀樹(新宿レフティージム)
(2R3分0秒 KO)
●貴雅(WSRフェアテックス蕨/WPMF日本5位)

<第4試合 REBELSルール スーパーバンタム級 3分3R>
○KOUMA(WSRフェアテックス荒川/WPMF日本スーパーバンタム級6位)
(判定3−0)
●ZAWA3(クロスポイント吉祥寺)
※29−28、30−28、30−28

<第3試合 REBELSルール 70kg級 3分3R>
○小島良太(WSRフェアテックス幕張/WPMF日本スーパーウェルター級2位)
(判定3−0)
●DAISUKE A.K.G(A−BLAZE KICK GYM)
※3者30−28

<第2試合 56kg契約 3分3R>
○RYO(HEAT)
(3R1分28秒 TKO)
●JUNYA(WSRフェアテックス荒川)

<第1試合 75kg契約 3分3R>
○小嶋広樹(WSRフェアテックス幕張)
(1R2分22秒 KO)
●MITSURU BRAVELY(BRAVELY GYM)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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