ハリルホジッチ新監督の招へいが正式決定 霜田委員長が交渉の経緯や選定理由を説明

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日本代表新監督に正式決定したハリルホジッチ氏 【写真:Action Images/アフロ】

 日本サッカー協会は12日、2015年度第3回理事会でヴァイッド・ハリルホジッチ氏を日本代表監督として承認したことを発表した。また、ジャッキー・ボヌベーコーチ、シリル・モワンヌフィジカルコーチの就任も併せて発表している。

 理事会後、会見に臨んだ霜田正浩技術委員長は、新監督の選定について交渉の経緯や選定理由を説明。さまざまな情報を収集し、過去の実績や経験、人柄などを踏まえた上でハリルホジッチ監督と一番に交渉したことを明かした。

 ハリルホジッチ監督はすでに日本へ向かっており、13日には来日記者会見を実施。月末に予定されている国際親善試合のチュニジア戦(27日)とウズベキスタン戦(31日)の指揮には間に合う見込みとなっている。

他のオファーを断って日本代表を選んだ

交渉の経緯や選定理由を説明する霜田技術委員長(左)と原専務理事 【スポーツナビ】

登壇者:
原博実(日本サッカー協会専務理事)
霜田正浩(日本サッカー協会技術委員長)

 今日の第3回理事会において、監督としてハリルホジッチさん、コーチとしてジャッキーさん、フィジカルコーチとしてシリルさんの3人が理事会で承認されましたので、新しいナショナルコーチングスタッフとなります。理事会の一番最初に協議事項として扱われ、承認されました。

霜田 本日、技術委員会から推挙したハリルホジッチ氏が、理事会で無事承認いただき、正式決定という運びになったことを皆さまにご報告致します。なかなか交渉の経緯や選定理由を途中でお話することが難しかったのですが、ようやく正式に決まりました。改めて、簡単ではありますが、ご説明したいと思います。

 2月3日に、アギーレ監督との契約解除が決定となり、技術委員会としては次の日本代表監督を選任しなければならないという事情になりました。そこから、技術委員会として2つの方針を決めました。ひとつは、Jリーグの現職の監督を3月の開幕を控えたこのタイミングで引き抜かないこと。それから、海外から外国人監督を招へいする場合に、アジアを勝ち抜いて、世界で勝つことを目的に監督を選ぶのであれば、世界を知っていて、経験豊富な監督を連れてくることにトライしてみようということをテーマとして決めました。

 前回の(ハビエル・)アギーレ監督招へい時、(アルベルト・)ザッケローニ監督もそうでしたが、経歴が素晴らしい監督であっても、会ったことも話したこともない監督にいきなりオファーを出すことはできません。まずはいろんな監督と話をし、情報を収集して、現在の契約状況やサッカー観、哲学はどうか、日本代表監督に意欲はあるか、モチベーションがあるかという情報を収集することを先決にしました。その情報を約10日間、2週間近くかけて収集し、一度日本に持ち帰りました。その後、もう一度技術委員会を開き、情報を収集した監督の中から、誰を選任するのがいいのか、誰から交渉を始めるのがいいのかという議論を踏まえ、多少時間は掛かりましたが、きちんとした手順を踏んで監督の交渉にあたりました。

 22日に技術委員会を行い、そこから(大仁邦彌)会長、原専務理事、協会の幹部の方にも報告、条件を設定し、交渉にあたりました。その時点でいろんな監督の情報を得た中で、技術委員会としては過去の実績や経験、実際にあった感触や人柄などを踏まえた上で、ハリルホジッチ監督に一番に交渉してみようということになり、26日、27日と2日間掛けて、彼といろんな話をしました。決して日本サッカー協会が提示した条件が素晴らしかったわけではないのですが、彼はいろんな国の代表監督、ビッグクラブのオファーを断って日本代表を選んでくれました。いろんな交渉の経緯はありますけれど、彼が非常に高いモチベーションで日本代表の新しいプロジェクトをやりたいと言ってくれました。条件も大筋で合意しましたので、それを本日の理事会に推挙させていただいたという次第です。

国籍はフランス人、フランス語を話す

――霜田委員長に質問。ハリルホジッチ監督に期待することは何か? 交渉にあたって(イビチャ・)オシム氏からアドバイスがあったのか?

霜田 監督と話を進めるなかで、異なる2カ国(コートジボワール、アルジェリア)でワールドカップ(W杯)出場権を獲得した。あるいは欧州のビッククラブで数々の代表選手と一緒に仕事をしてきた。そういった実績や経験から、非常に自分の仕事に自信を持っています。そして、日本人のクオリティーを非常に高く評価してくれている。日本が世界と戦うために、非常に厳しい監督ではありますけれども、日本人の持っているクオリティーやストロングポイントを生かして日本が世界で戦える武器を増やしてくれるのではないかと思っています。

 2つ目の質問ですが、オシムさんと親交があるとは聞いていましたがオシムさんと具体的に何かを話した事実はありません。実際にオシムさんには会いに行きましたけれど、その日に突然お通夜が入ってしまい、オシムさんとは会って話ができませんでした。オシムさんのもとに訪問した理由は、監督を紹介してもらおうということではありません。今までオシムさんが日本代表を日本化するとおっしゃっていましたが、それをザッケローニ監督、アギーレ監督と今までの日本代表を外から見て、日本代表がどのような道に進んでいるか。このままわれわれは代表の強化を進めていきたいけれど、外から見てどうかという単純なサッカーの話をしたいと思ったので訪ねました。残念ながら会うことはできませんでした。彼から何かアドバイスを受けたという事実はありません。

――契約はいつからいつまでなのか? 国籍はフランスとあるがフランス語を話すのか? GKコーチが決まっていないがどうするのか?

霜田 契約書に記載されている契約の金額や期間は守秘義務がありますので、ここで開示することは控えたいと思います。国籍はボスニア・ヘルツェゴビナ出身ではありますがフランスの国籍も有しています。パスポートもフランスです。なので、フランス語を話します。フランスに家もありますし、奥さんもフランス人です。家族もフランスで生活をしています。選手時代からフランスで長く生活していますので、国籍もフランスということで本人から了承を得ています。

 GKコーチについては、前回アギーレ監督とともに戦ったリカルド(・ロペス・フェリペ)コーチをそのまま続投させます。日本人のGKから高い評価を得ているということと、僕らも彼の仕事ぶりを評価しているということです。国籍は違うのですが、一緒に仕事をすることを監督も納得してくれていますので、この体制でスタートしたいと思います(編注:リカルドコーチはスペイン人)。

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