称賛される内田篤人の変わらぬ仕事ぶり 苦境のシャルケで必要なクラブ精神の発揮
シャルケファンのお気に入り
ブンデスリーガ出場100試合を達成した内田。シャルケファンのお気に入りとなっている 【Bongarts/Getty Images】
内田はシャルケファンのお気に入りである。いつでも練習グラウンドには、彼を見に集まるファンがたくさんいる。サインをしたり、一緒に写真に収まったり、短いおしゃべりをしたりと、義務ではないにもかかわらず、内田は喜んでファンサービスに応じる。
内田が人気を誇るのは、ファンの間だけでのことではない。チームの中でも常に、内田は自分の役割をしっかり認識している。
チームで一番の親友であるユリアン・ドラクスラーは、内田に短い愛のメッセージを送っている。「どうだい、相棒? すべてうまくいっているかい?」。すると内田は紙の切れ端にこう記した。「ウッシーは君がいなくて寂しいよ、ハニー」。ドラクスラーがSNSに投稿したこのやり取りは、ファンにも好評だったようだ。
もっとエゴイスティックになっていい
「試合の中ではとてもおとなしく、ブンデスリーガや国際レベルという“サメ入りのオリ”の中で、1対1の弱さも露呈されていた。だが、内田に関する疑念はすべて払拭(ふっしょく)された。今では、フェリックス・マガト監督の時代から残る選手たちの中でも、一番の“遺産”だと考えられている。今季当初は振るわなかったのも、ワールドカップの疲れもあり、プレー時間を得られないことだけが問題だった。ラフィーニャの後継者として、ゲルゼンキルヒェンで議論の余地ない先発選手の地位を確立している」
ただし、一つだけ欠けているものがある。「ゴール前での冷静さだ」とレデマンは指摘する。「時にはもっとエゴイスティックになっていい。相手だけではなく、チームメートも尊重しすぎてしまうことがある。間違った謙虚さが出てしまうんだ」
内田も心得ているシャルケのモットー
単なる失敗ではなく、“完璧なる失敗”が、何人の選手から見られた。「マルコ・ヘーガーにベネディクト・ヘベデス、ティモン・ベレンロイター」だけが、SDにはまともな仕事をした選手に映ったそうだ。
「個性を揺るがしかねない問題」から24時間も経たない日曜日のスタジアム。指揮官は話し合うことを求めた。選手たちは落ち込んではいなかったし、クラブの精神を口にした。
「戦うこと」
シャルケを永遠に前へと進めていくモットーである。
内田もそのことは、よく心得ている。内田にはすでに、驚異的なスタミナと戦術的規律が備わっている。長い時間かけて培ってきたその力を、正しい方法で発現させればいい。ダービーでの2失点目で、ヘンリク・ムヒタリアンを長く走って追いかけながら捕まえきれなかったことも、次への糧とすればいい。
ダービーでの敗戦を、ファンはしばらく苦々しくかみ締めることになる。CLでは次戦、アウェーのマドリーで逆転することは、ほぼ奇跡といってもいいレベルの難業だ。それでも内田は、その苦難に正面から立ち向かっていくに違いない。いつものように、飄々(ひょうひょう)と。
(翻訳:杉山孝)