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バレー強化策『TeamCORE』発足後1年
強化・育成の現場で感じた手応えと危機感

全日本女子のユースとジュニアが合同合宿

『Project CORE』発足から1年、ここまでの手応えを女子監督の安保澄(写真)や選手に聞いた
『Project CORE』発足から1年、ここまでの手応えを女子監督の安保澄(写真)や選手に聞いた【スポーツナビ】

 19日、味の素ナショナルトレーニングセンターのバレーボール専用コートは活気に溢れていた。


 2面あるコートの一方では、女子の19歳以下の全日本ジュニア代表候補選手が練習し、もう一方では17歳以下の全日本ユース代表候補選手たちが練習する。16日から開催されたユース、ジュニアの合同合宿には、それぞれのチームスタッフに加え、川北元コーチ、大久保茂和コーチなどシニア代表のコーチも担当を分けて練習に参加していた。


 練習内容はカテゴリーごとに異なるメニューが組まれているが、飛び交う言葉に違いはない。


「もっとパスを丁寧に」


「ブロックの時は自分の勘だけで動かず、相手をちゃんと見てから動くように」


 今年はユース、ジュニア共に世界選手権が行われる。この合同合宿もそのための強化策の1つではあるが、当然ながらそれだけにとどまらない。ジュニア代表の監督で、昨年発足した『TEAM CORE』の女子監督を務める安保澄が言った。


「われわれのミッションは、リオデジャネイロ五輪の翌年、2017年に全日本チームが発足した時、今ここにいるメンバーの中から1人でも多くの選手を送り出すこと。東京五輪まであと5年と言われますが、われわれにとってそんなに時間はありません。『TEAM CORE』が昨年発足し、そこからスタートと考えれば与えられた時間は3年しかない。『TEAM CORE』として前進している手応えを感じつつも、現場ではかなりの危機感を感じています」

年代を超えて共通認識を持つ

 14年6月、日本バレーボール協会は20年の東京五輪、さらにはその先の世代も見据えた強化育成の長期計画を1つのプロジェクトと打ち出し、発掘、強化、育成にまつわる一大事業を『Project CORE』と命名した。


 中でも最初に始動したのが、選手を育てるための単発的な強化策だけではなく、ユースやジュニアなど年齢ごとの代表チームで中心としてプレーする選手、東京五輪での活躍が有望視される選手を強化指定選手とする『TEAM CORE』だ。男女共に専属の監督やコーチのもと、定期的に合宿や海外遠征を行い、技術力や戦術遂行能力、さらには海外遠征や共同生活を通して自立した選手を育てることを目的とし、発足時の記者会見では18名が強化指定選手として『TEAM CORE』のメンバーに選出された。


 チームと名づけられてはいるが、1つのチームとして試合に出場することが目的ではなく、将来の可能性を担う強化選手を明確にし、シニア代表からジュニア、ユースとつながる共通認識を持ち、課題を共有することで、『TEAM JAPAN』としてより強化を図る、というのが大きな目的でもある。

発足から1年で見られた変化の兆し

ユース、ジュニアの合同合宿には、シニア代表のコーチも参加。一貫したプロジェクトの元で強化を図る
ユース、ジュニアの合同合宿には、シニア代表のコーチも参加。一貫したプロジェクトの元で強化を図る【スポーツナビ】

 発足時、まず大きな課題として掲げられたのが、選手たちの所属先である高校や大学、Vリーグチームとの連携だ。それぞれ大会が開催される時期も異なり、いくらスポーツで将来が有望な選手とはいえ、学生である以上、学業が第一。テストや授業の予定によっては、強化合宿が行われようと、国際大会が行われようと選手の派遣を断られることも少なくはなかった。


 しかし発足から1年が経ち、強化指定選手の多くがジュニア、ユースカテゴリーの国際大会やアジア大会への出場を果たし、一定の成果を残した。さらに、安保監督や太田豊彦ユース・ジュニア女子チームコーディネーターを中心とした強化の現場から、強化育成に向けた具体的なプランが打ち出されると、選手たちの所属先からも徐々に協力を得られるようになった。安保監督が「所属先との連携は今も課題ではあるけれど、1年前と比べると大きく前進しているし、課題の質もまったく違う」と言うように変化の兆しも生まれている。


 何より大きな変化は、現時点だけの結果が求められるのではなく、長期的視野に基づく育成が掲げられる中で、ユース代表やジュニア代表として国際大会に出場した選手たちの意識が変わったことだ。


 発足時は選手たち自身も「『TEAM CORE』って何だろう?」という認識だったが、合宿の回数が増え、そのたび「世界で勝つため」の技術や意識を植え付けられる。それまではただ自身の所属チームで勝つことだけを目的としてきた選手たちの意識も、所属チームの勝敗に加え、「世界で戦うために何をすべきか」と考えるようになった。

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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