亀海喜寛が米国でメインイベンター=3月のボクシング興行見どころ

船橋真二郎

日本人世界王者のいないウェルター級

日本時間3月21日、東洋太平洋ウェルター級王者・亀海が米国でメインイベンターとして登場。世界挑戦2度のベテランであるゴメスと対戦する 【Getty Images】

 世界的にも選手層の厚いウェルター級で世界を目指す東洋太平洋王者の亀海喜寛(帝拳/25勝22KO2敗1分)が3月20日(日本時間21日)、メインイベンターとして米・カリフォルニア州インディオのリングに上がる。長い歴史のなかで、ウェルター級は日本人世界王者がひとりも誕生していない難関である。世界挑戦も1970年代の辻本章次(ヨネクラ)、龍反町(野口)、80年代後半の尾崎富士雄(帝拳)の2度、2009年の佐々木基樹(帝拳)と計5度だけ。チャンスをつかむことすら難しい階級と言える。

 現在のウェルター級の頂点には、WBA“統一”&WBC王者で5階級を制しているフロイド・メイウェザー(米)とWBO王者で6階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン)という2人のスーパースターが君臨している。5月2日(日本時間3日)についに実現の運びとなった両雄のスーパーファイトの報酬は、総額240億円を超えるとも言われる。これだけでも、亀海の挑もうとしている壁がいかに高いかが知れるだろう。

亀海の相手は世界挑戦2度のベテラン

 昨年6月、亀海は米・カリフォルニア州カーソンで4階級制覇のロバート・ゲレロ(米)を相手に奮闘し、結果は判定負けながらも評価を高めた。同年の12月、米・ラスベガスでオスカー・ゴドイ(米)に4回TKO勝ちで再起。通算6度目となる米国のリングに、2度の世界挑戦経験を持つアルフォンソ・ゴメス(メキシコ/24勝12KO6敗2分)を迎える。ゴメスは昨年7月、2年ぶりの復帰戦で引き分けを挟んで14連勝を記録していた世界ランカーのエド・パレデス(米)を判定で下した。4回と6回にスリップ気味のダウンを喫するも、ベテランらしい試合巧者ぶりを見せた。08年にはミゲール・コット(プエルトリコ)のWBAウェルター級王座に、11年はサウル・アルバレス(メキシコ)のWBCスーパーウェルター級王座に挑み、いずれも前半でTKO負けしているゴメスだが、ビッグネームとの対戦経験も豊富。決して簡単な相手ではないだけに、力を示すには絶好の試合になるだろう。

 ゴメス戦と前後し、ウェルター級戦線にも動きが出る。7日(日本時間8日)にはWBA“レギュラー”王者で次のスター候補と目される強打者キース・サーマン(米)に亀海と戦ったゲレロが挑戦する一戦がラスベガスで、28日(日本時間29日)にはIBF王者で33勝22KO無敗のケル・ブルック(英)の初防衛戦が英・シェフィールドで行われる。メイウェザー、パッキャオより現実的なのは、この2つのベルトになるのだろう。それでも道が険しいことに変わりはない。大舞台に望みをつなげるためには、とにかく結果を出し続け、存在をアピールする以外に手立てはない。亀海にとっては、一戦一戦が大切な勝負のリングとなる。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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