青木宣親に向けられる厳しい視線 価値を証明しSFファンの心つかめ

鈴木良枝

ハッピーな移籍も昨季と異なる状況

入団会見で笑顔を見せる青木。しかし、向けられる視線は厳しく、決して楽観できるものではない 【Getty Images】

「サンフランシスコ・ジャイアンツの一員になれて興奮している。サンフランシスコは好きな街。伝統ある球団で、対戦をしていてチームが一丸となってやっていた。すごく強いチームだし、毎年世界一を狙える球団」

 1月20日(日本時間21日)、本拠地サンフランシスコのAT&T・パークでの入団記者会見に、ラリー・ベアー共同オーナー兼球団社長とボビー・エバンズGM(ゼネラルマネジャー)補佐らとともに臨んだ青木宣親は笑顔でこうあいさつした。

 会見での青木の言葉からも、最初からこの5年で3度のワールドチャンピオンに輝いたジャイアンツを移籍候補のターゲットにしていたことが見て取れた。青木にとっては意中の球団に入ることができたので、最高にハッピーな移籍となったのだろう。しかしながら、今回の移籍は昨年、カンザスシティ・ロイヤルズに「1番・ライト」のレギュラーを約束されて移籍した状況とは少し違っている。

反応の薄いサンフランシスコのファン

 現地15日に青木の契約合意の一報が流れてから、地元メディアも「青木入団」を報じた。球団のSNSや地元テレビ局のサイトなどにもファンからコメントが寄せられた。「安定して打率を残すことができ、ヒットが量産できる選手」「彼のスピードとディフェンスは魅力的」「決して守備のスペシャリストではないけれど、コンタクトヒッターで良い補強」という好意的な意見がある一方で、ネガティブな意見も多く見られた。

「彼はジャイアンツを救うことができるとは思えない。もっとパワーがないとダメ。チームに必要なのは彼のような選手ではない」
「彼はチームにフィットするとは思うが、あの外野の守備ではバックアップ要因だろう」

 記事に対するコメント数も、他の選手の契約更新の記事には1000近いコメントがあるのに対し、青木の入団会見の記事はわずか37というものもあった。

 なぜ、ファンはこのような反応なのか? それはやはり青木の知名度の低さにある。西海岸でも人気がある同じ日本人メジャーリーガーのイチローから比べると、ネームバリューの差は歴然。実際、インタビューをした中で青木のことを知らないというファンもいた。昨年のワールドシリーズでの対戦相手だったとはいえ、そこまで印象に残っている選手ではなかったのだ。しかし、ファンの反応の薄さには他にも理由がある。

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著者プロフィール

サンフランシスコ在住。テレビ局勤務。スポーツリポーター、AP、コーディネーター。高校野球の監督だった父親の影響で高校・大学では野球部のマネージャーを務める。大学時代よりプロ野球やMLB中継に携わる。テレビ局のスポーツ局での勤務を経て、その後拠点を米国に移す。現在はサンフランシスコ・ジャイアンツやサンフランシスコ49ersなどスポーツの取材を中心に行うほか、コーディネーターとして幅広くテレビ番組の制作にも関わっている。

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