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中島裕之に重なるパイレーツ姜正浩の姿
日本人野手の未来も左右するその成否

鳥谷との比較は適当ではない

パイレーツと4年+1年の、最大1650万ドルの大型契約を結んだ姜正浩。同時期にメジャー移籍を目指した鳥谷と比較をされがちだが、メジャースカウトは別の日本人野手と姿を重ねていた
パイレーツと4年+1年の、最大1650万ドルの大型契約を結んだ姜正浩。同時期にメジャー移籍を目指した鳥谷と比較をされがちだが、メジャースカウトは別の日本人野手と姿を重ねていた【ストライク・ゾーン】

 韓国プロ野球・ネクセンからポスティングシステム(入札制度)を利用して、メジャーリーグ行きを希望していた姜正浩(カン・ジョンホ、27歳)は16日、パイレーツと契約を結んだ。その契約内容は4年プラス1年で、最大1650万ドル(約19億3000万円)に上るという。その一方でFA(フリーエージェント)権を行使し、メジャー移籍を目指した阪神・鳥谷敬(33歳)は契約には至らず国内残留となった。姜正浩と鳥谷は同じ遊撃手。同時期にメジャーを目指した両者を「明暗」と分けたくなるが、2人はプレースタイルが異なり、年齢も6歳離れている。両者を比較するのは適当ではないだろう。


 それでは今回、大型契約を手にした姜正浩を、日本人野手の誰と比べれば良いのか。


 姜正浩は右投げ右打ちの内野手。身長183センチ体重96キロで、厚い胸板が目を引く選手だ。2014年の成績は打率3割5分6厘(リーグ4位)、本塁打40本(2位)、打点117(3位)を残し、5番打者としてチームの2位に貢献した。


 対戦相手のコーチとして姜正浩を見ていた、清家政和SK2軍監督(55歳)は打者・姜正浩についてこう話す。


「パワーがあって、逆方向に打てる対応力もある。チャンスにも強いし、SKはよく打たれたので、ものすごく良いバッターという印象を持っています。体はでかいですが、上半身と下半身の動きがバラバラにならず連動しているので、自分の調子の良し悪しを見極めながら、うまく体を使えるバッターです」


 姜正浩は速球派の投手に非常に強い。それに比べると、縦の変化球を武器とする投手やサイドスローには多少、分が悪いが、苦手にしているわけではない。清家氏の言葉通り、パワーと対応力を兼ね備えた打者だ。

“ナカジ”と比べて柔らかい守備

 それでは守備はどうか。現役時代、姜正浩と同じくショートを守っていた清家氏は、姜正浩の守りについて、「韓国はハンドリング重視の内野手が多いですが、姜正浩はフットワークを使って打球の正面に入り、難しい打球も処理できます」と評価する。

 その一方で、厳しい面も指摘する。


「肩はメジャーでは通用しないと思います。かつて12球団一の強肩と言われていた松井稼頭央(現東北楽天)でもメジャーの中では普通の部類でした。姜正浩の肩はメジャーの内野手の中では下の方です。ショートでは難しいと思うので、可能性があるとしたらサードでしょう」


「姜正浩を使うならサード」という意見は、長年、姜正浩を調査していた、セ・リーグの球団スカウトからも聞かれた。


 清家氏は姜正浩の守備をこうまとめた。

「不器用で泥臭く取り組んでうまくなっていった“ナカジ”と比べて、姜正浩は柔らかさがあってスムーズ。動きはいいです」


 この「ナカジ」とは2年間の米国生活を終え、今季、オリックスで日本球界に復帰する中島裕之(32歳)のことだ。清家氏と中島は08年から3年間、埼玉西武で守備走塁コーチと選手の関係だった。姜正浩と中島の両者を近くで見てきた清家氏は、「姜正浩と日本人野手を比較するなら、鳥谷ではなく中島」と言う。これにはメジャー球団のアジア担当スカウトも口をそろえていた。

室井昌也
室井昌也
1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。またWBCでは公式プログラムの執筆や中継局の情報提供を担当している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。