京子が初の電流爆破マッチで堀田に劇勝=ジャガー&Sareeeの35歳差タッグが初戴冠

高木裕美

女子プロの聖地で17年ぶり電流爆破

閉館・解体が決まった「女子プロレスの聖地」川崎市体育館のラストマッチとして、女子プロレスとしては17年ぶりの電流爆破が決行された 【横田修平】

 ワールド女子プロレス・ディアナが23日、「女子プロレスの聖地」神奈川・川崎市体育館ラストマッチを開催。メインイベントでは、女子としては17年ぶりとなるノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチで、井上京子と堀田祐美子が激突した。

 川崎市体育館は、かつて全日本女子プロレスがビッグマッチを多数開催。髪切りマッチや金網デスマッチなど、数々の歴史的な試合が行われてきた。だが、建て替えのため、今年12月27日をもって閉館・解体が決定。58年に渡る歴史に終止符を打つことになった。

 そこで、京子は「川崎といえば電流爆破」と、同会場の目の前にあり、かつてFMWの聖地であった川崎球場に思いを馳せ、今回の爆破マッチ開催を決意。“邪道”大仁田厚に何度も直談判し、ついに1997年4月29日・横浜アリーナでの工藤めぐみvs.シャーク土屋以来となる爆破マッチが実現することになった。

京子、初の電流爆破は「痛い」

女子の電流爆破にGOサインを出した大仁田も試合後、2人を労った 【横田修平】

 大仁田、工藤さんが立会人として見守る中、ついに試合開始のゴング。堀田が持参したイスが有刺鉄線を直撃した途端、巻き起こる爆音と壮絶な火花に場内は騒然。だが、その衝撃が収まる間もなく、エルボーをかわされた京子が被爆してしまう。京子はこの一撃で、背中を切り裂かれ、火傷で水ぶくれになりながらも、今度は堀田を押し込んで被爆させると、堀田が毒霧噴射から頭突き。再び被爆した京子だが、堀田を有刺鉄線に振ってやり返す。互いに2度ずつの被爆を体感しながらも、先に立ち上がった京子は、ラリアット、ショートレンジラリアットを連発。もつれ合うように同体で被爆した後、先に起き上がった京子が堀田を押さえ込み、3カウントが叩かれた。

 試合後、「ここまで体を張ってやる姿、プロレスを愛してるおまえの気持ちを感じた」という堀田に、京子も「まだまだ女子プロレス、死んでねぇぞ。まだまだ盛り上げていくぞ」とリング上で宣言。堀田と抱き合って互いを認めた。

「素晴らしい第一歩を歩んだ」と京子の頑張りを認めた大仁田は「女子がここまでやるなら、オレも負けてられない」と、来年からも大花火シリーズ続行にやる気満々。傷と火傷だらけになり、コスチュームも焼け焦げた無残な姿となった京子は、初体験の電流爆破の感想を「痛い。ずっと痛い。今も痛い」と涙目で語りながらも、さまざまな女子の歴史が詰まったこの会場のラストを、華々しい花火で飾れたことに感慨深い表情を浮かべた。

ジャガーが孫弟子をサポート

ジャガーにとって孫弟子にあたるSareeeとの35歳差コンビでタッグ王座を獲得 【横田修平】

 W.W.W.D世界タッグ選手権試合では、53歳のジャガー横田と18歳のSareeeの35歳差タッグが、KAORU、下田美馬組を破り王座初戴冠した。

 ジャガーにとってSareeeは、かつての弟子であった伊藤薫の弟子。つまり、孫弟子にあたる存在。女子プロレスの未来を担うティーンエイジャーに対し、王者組はボードやイス、さらには井上貴子も試合に介入させ、えげつない攻撃を見舞うも、Sareeeがこの猛攻を耐え抜くと、ジャガーがしっかりとサポート。20分を超える接戦となる中、KAORUのムーンサルトプレス、みちのくドライバーIIをしのいだジャガーが雪崩式フランケンシュタイナーで3カウントを奪い取った。

 まさかの逆転負けに怒り狂う前王者組は、Sareeeを場外へ連れ出してリンチするが、ジャガーはSareeeを抱き締めて身を呈してかばうと、2人で勝ち名乗り。Sareeeは「これからなるべく多く防衛していきたい」と抱負を語った。

伊藤が因縁の豊田から王座奪取

ダイビングフットスタンプで因縁の豊田からシングル王座をもぎ取った伊藤 【横田修平】

 W.W.W.D世界シングル選手権試合では、全日本女子プロレス時代からのライバルである王者・豊田真奈美と伊藤薫が激突。ともにキャリアと年齢と重みを増した重量級の戦いを繰り広げた。“飛翔天女”の異名を誇る豊田は、場外へのダイブやミサイルキック、ローリングクレイドルなどの往年の技を披露。伊藤も体重を載せた攻撃で豊田のスタミナを奪うと、105キロの全体重をぶつけていったダイビングフットスタンプで勝利をもぎ取った。

 全女時代の2度のWWWAシングル王座に続き、3度も豊田からベルトを奪った伊藤は、「縁起が良かった」と初戴冠に感動。全女時代からの長い歴史、そして、この川崎市体育館との思い出を振り返りつつ、「このベルトとともに成長していきたい。まだまだ下の者の踏み台にはならない」と、自身も、団体もまだまだ発展させていきたいと意気込んだ。

大仁田も女子の電流爆破にエール

大仁田は試合にも参戦。ストリーチデスマッチで大暴れした 【横田修平】

 今回の女子の電流爆破マッチ開催にGOサインを出した大仁田は、FMW時代からの仲間である田中将斗、保坂秀樹と組んで、デーモン植田、KAMIKAZE、矢口壹琅組とストリートファイトデスマッチで激突した。

 今年のプロレス大賞で敢闘賞を授賞した大仁田は、同じく最優秀タッグ賞授賞となったまな弟子の田中とともに、場内ところ狭しと大暴れ。植田と有刺鉄線バットでチャンバラを繰り広げると、破壊された机の板で相手チームをメッタ打ち。最後は矢口の顔面に緑の毒霧を噴射し、ラリアットで粉砕すると、リング上から「皆さん、女子の電流爆破もよろしくお願いします」とメインで初の爆破マッチに挑む2人にエールを送った。

大会結果

■ワールド女子プロレス・ディアナ「川崎伝説」
神奈川・川崎市体育館

<メインイベント ノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチ>
○井上京子
(12分16秒 同体爆破→体固め)
●堀田祐美子

<セミファイナル W.W.W.D世界タッグ選手権試合>
[挑戦者組]○ジャガー横田、Sareee
(20分51秒 雪崩式フランケンシュタイナー→片エビ固め)
[王者組]●KAORU、下田美馬
※第4代王者組が初防衛に失敗、ジャガー、Sareee組が第5代王者組

<第6試合 W.W.W.D世界シングル選手権試合>
○[挑戦者]伊藤薫
(18分25秒 ダイビングフットスタンプ→片エビ固め)
●[王者]豊田真奈美
※第3代王者が2度目の防衛に失敗、伊藤が第4代王者

<第5試合 ストリートファイトデスマッチ>
○大仁田厚、田中将斗、保坂秀樹
12分52秒 ラリアット→体固め)
デーモン植田、KAMIKAZE、●矢口壹琅
※レフェリー:工藤めぐみ

<第4試合 田中盟子チャレンジマッチ>
○渡辺智子
(2分54秒 ドロップキック→片エビ固め)
●田中盟子

<第3試合 タッグマッチ>
○井上貴子、チェリー
(13分30秒 ディスティニーハンマー→体固め)
青野敬子、●藪下めぐみ

<第2試合 タッグマッチ>
アイガー○、マスク・ド・サン
(9分10秒 横入り式エビ固め)
中島安里紗、●ライディーン鋼

<第1試合 オープニングマッチ>
唯我○、星ハム子
(12分11秒 ダイビングボディープレス→体固め)
小林香萌、●日向小陽
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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