ポルシェがF1参戦!? 急加速の可能性も=赤井邦彦の「エフワン見聞録」第35回

赤井邦彦/AUTOSPORTweb

バーレーン&アブダビで聞いた新情報

今季からWECへの参戦を始めたポルシェ。早くもF1参戦の噂が出ている 【LAT】

 前回の「エフワン見聞録」でアウディのF1参戦の可能性を書いたが、もしかしたら私の分析通りにはいかないかもしれない。11月の半ばから私はバーレーンのWEC(世界耐久選手権)、アブダビのF1で取材活動をしてきたが、それらの現場で得られた情報は、これまで私が有していた情報と少し異なるものだった。もちろん、これまでの取材で入手した情報による“アウディF1参戦”の分析が間違っているとは思わない。前回の原稿を書く時点では、最も新しい信頼の置ける情報を分析したと理解している。

 では、今回あらためて入手した情報とは一体どういったものだったのか? それは、アウディよりもポルシェが先にF1に参戦する可能性が高いというものだった。「えっ」と私は絶句してしまった。何カ月もかけて入手した情報を分析し、多くの人の言質を取ってきたつもりなのに、それが簡単に覆されてしまったからだ。しかし、今回のポルシェのF1参戦予想の決め手の方が、より具体的でロジカルである。

F1参戦を見据えたパワーユニット

 まず、現在ポルシェがWECで採用しているパワーユニットは、ダウンサイジングの2リッターV4シングルターボ・エンジンであるということ。最高回転数は約9000回転で、出力は550馬力程度。WECはこのエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムで、最高出力は約800〜900馬力とか。そして、F1のエンジンもご存じのように1.6リッターのダウンサイジング・エンジン+ターボチャージャー+エネルギー回生システムが装着された、WECのそれと非常によく似たもの。この両者のエンジンを考えると、ポルシェがWECに出てきたのは将来のF1を考慮してのことだ、という考えは納得できる。

 ポルシェに近いある技術関係者がこう言う。

「ポルシェがWEC参戦になぜダウンサイジングのターボエンジンを選択したか考えたことがありますか? これは将来のF1参戦を考えての上であることは疑う余地がありません。ただ、彼らはスポーツカーレースの王者としての権威を示さなければならない。だからWECでル・マンとFIA耐久選手権タイトルを獲得してからF1に来るはずです。でも、その時期は恐らくそれほど遠くないと思いますよ」

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著者プロフィール

赤井邦彦:世界中を縦横無尽に飛び回り、F1やWECを中心に取材するジャーナリスト。F1関連を中心に、自動車業界や航空業界などに関する著書多数。Twitter(@akaikunihiko)やFacebookを活用した、歯に衣着せぬ(本人曰く「歯に衣着せる」)物言いにも注目。2013年3月より本連載『エフワン見聞録』を開始。月2回の更新予定である。

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