JC乗り替わりの有力各馬、陣営の思惑=蛯名、ムーア、戸田調教師に聞く

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蛯名「来年以降も含めて大きな期待」

蛯名はイスラボニータのすべてを知り尽くしている 【netkeiba.com】

 天皇賞・秋で3着と敗れた3歳馬のイスラボニータ。デビュー以来手綱を取ってきた蛯名がフェノーメノに乗るために、初めて鞍上がルメールに変わった一戦だった。

 レースの翌週「ダービーと同じようなレースになってしまいましたね」と栗田師は、少し悔しそうだった。ダービーと同じような競馬。つまり早めにハナに立って、結果ソラを使ってしまったということのようだ。今回は蛯名に手が戻る。

「他の騎手が乗ったレースについて言っても仕方ないですから。でもある程度のメンバーでやれましたからね。とは言っても、実際負けていますし、今回は更にメンバーが強くなりますから、チャレンジャーの立場だと思います」と天皇賞・秋について、蛯名は冷静に分析した。2400mについては、道中の走り方にポイントがありそうだ。

「レースを使っている分だけ、久し振りだったセントライト記念の時よりは良いですが、若干気持ちが入ってきた感じはありますね。真面目になり過ぎている気もするので、もっと遊びがあった方が良いです。2400mでは、上手に遊んで走れた方が良いですからね。道中遊ぶのと、ゴール前遊ぶのとでは、大きな違いがあります」

 ゴール前の遊び……これは天皇賞・秋のゴール前を指しているようにも思える。そしてダービーでのゴール前を知っているのも蛯名だ。「そのあたりは何回も乗っていますからね」。イスラボニータを知り尽くした蛯名だからこその、自信の言葉とも受け取れた。

「来年以降も含めて、大きな期待をしている馬ですし、このメンバーに入ってどこまでやれるかですね」

 蛯名は最後にこう締めくくった。距離延長が不利と言われる同馬の鞍上に、イスラボニータをわかっている蛯名が戻ることはプラスに働きそうだ。

戸田師が岩田に寄せる信頼

落馬負傷のためフェノーメノに騎乗できなくなったルメールだが、1週前追い切り後には「2400mの方がいい」と太鼓判を押していた 【netkeiba.com】

 天皇賞・秋でまさかの14着という惨敗を喫したフェノーメノ(牡5、美浦・戸田博文厩舎)は、蛯名から岩田にスイッチされる。

 実は蛯名も含めて、天皇賞・秋前の陣営の感触は決して悪くはなかった。トーンが明らかに低かった春の日経賞の時よりも、蛯名の表情も明るかった。ところが本番では、全く見せ場なく敗れ去ってしまったのだ。

「ジョッキーは前に進んでいかなかったと言っていたけど、敗因がわかりません」と戸田師も首を傾げた。

 ジャパンCの1週前追い切りには、当初騎乗予定だったルメールが美浦に駆け付け、フェノーメノに騎乗している。追い切り後にルメールは「lazy(レイジー)」という言葉を発していた。直訳すれば、怠惰なとか、怠けるという意味になる。

 さらに「(フェノーメノは)トレーニングだということがわかっている。レースではファイトを見せてくれるだろう」ともコメントしていた。フェノーメノに少しズルい面もあると感じたようだった。そして距離については「2000mはこの馬には短い。2400mに延びるのはプラス」と明言していた。

 ところが先週末のレースでルメールが落馬負傷し、フェノーメノの鞍上は岩田に変更となった。だが岩田はテン乗りではない。デビュー戦から弥生賞までの4戦の手綱を取っているのだ。当然、デビュー時や弥生賞時より馬は成長しているだろうが、名手だけにこの馬の癖も把握しているはずだ。

 戸田師によると「早めに動いて地力で押しきる競馬をした時」がフェノーメノの勝ちパターンだという。今回岩田が、戸田師が期待するような競馬をすることができるのかが、鍵となりそうだ。

「岩田騎手にはディープブリランテがいたから乗り替わりになっただけであって、元々フェノーメノに乗ってくれていたジョッキーですからね。騎手に関しては二転三転しましたけど、岩田騎手になって良かったと思います」と、戸田調教師はジョッキーにも信頼を寄せている。フェノーメノのこの乗り替わりも、どうやらプラスとなるようだ。

 騎手が替わることで、その馬のスタートや道中の位置取り、追い出しのタイミングなど、さまざまな変化が生まれることだろう。

 今回取り上げた3頭ともに、乗り替わりが吉と出そうなだけに、好メンバーが揃う今回のジャパンCは、見応えある一戦となることは間違いないだろう。そして取材した3頭がどのような競馬をするのか、スタートからゴールまで目が離せそうにない。(文中敬称略)

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