ラグビー日本代表、敗戦から得た収穫 欧州遠征リポート
「欧州流」のスクラムにはまだ対応できず
ワールドカップに向けてスクラムのさらなる強化が求められる 【斉藤健仁】
だが現実は甘くなかった。ルーマニア代表にはペナルティートライを献上、フランスの1部リーグで活躍する第1列がそろうグルジア代表には、終始劣勢。1年前にルールが変わり、スクラムをヒットする前に1番が3番、3番が1番のジャージーをバインド(つかみ合う)することになった。そのとき、押したり引いたりしてはいけないが、ルーマニアもグルジアのFWもバインドしながら後ろの5人とともに体重をかけてきたという。日本代表のFW陣は、欧州特有の柔らかい芝と、欧州のスクラムにはまだ対応できなかったというわけだ。
HO木津は「グルジア代表、スクラム強かったです。相手の8人での体重の乗り方はひと味もふた味も違った。エディーさんには試合中にスクラムワークを修正してほしいと言われました。今日の経験を踏まえてポジティブにとらえてやっていきたい」ときっぱりと答えた。またPR畠山健介(サントリー)は冷静だった。「スクラムはいきなり理由もなく強くなったりするものではないので、まずしっかりとフィジカルの強化ともっと8人で戦うというマインドをしっかり持つ必要がある。そして何より時間がないのでより多くの相手とスクラムを組むことが大事です」
「今日の負けはワールドカップにつながる」
グルジア戦に途中出場したSH矢富。ケガを乗り越えて5年ぶりに日本代表に復帰した 【斉藤健仁】
グルジア代表に負けたからと言って、敵地でカナダ代表とアメリカ代表に勝ち、ホームでイタリア代表に初めて勝利しテストマッチ9勝1敗で終えた今シーズンは「喜んで良い成績」(ジョーンズHC)だ。グルジア代表戦こそケガで出場できなかったFLリーチ マイケル主将(東芝)は「個人のスキルやパワーがまだ足りないが、この1年すごくハードに練習してきてすごく成長しているし、チームのやっていることは間違いない。今日の負けはワールドカップにつながる」と10カ月後の本番を見据えた。
3年前、桜の季節に嵐の中で船出したエディー・ジャパンは、来年、いよいよワールドカップイヤーを迎える。新春にはスコッドの大枠を固め、4月から再始動する。来秋、「この負け、経験があったからこそ」というコメントが聞ければ、と思う。