母国で好対照なクルピとオリヴェイラ Jリーグで確かな実績を残した2人の今
アトレチコ・ミネイロでロナウジーニョを解雇
C大阪を退任後、母国でアトレチコ・ミネイロの指揮を執ったクルピ 【写真:アフロスポーツ】
第9節終了時点で、順位こそ8位だったが、勝ち点はオリヴェイラ率いるサントスと同じ。W杯後に巻き返しを図ったが、攻撃の中心を担うべきロナウジーニョが不調と見るや、容赦なく途中交代を命じた。本人が不満をあらわにしても、厳しい態度を変えない。結局7月末、ロナウジーニョはクラブを退団した(その後、メキシコリーグのケレタロに入団)。
事実上、ロナウジーニョを解雇したクルピに対し、地元メディア、サポーター、さらにはクラブ首脳から強い批判が起きた。成績もなかなか上がらず、オリヴェイラがサントスを解任された時点の全国リーグの順位は8位で、サントスを勝ち点4上回っていたにすぎなかった。
しかしその後、アトレチコ・ミネイロは著しい変貌を遂げる。クルピが、ロナウジーニョが抜けた穴を中堅選手やクラブ育ちの若手選手で埋め、なおかつチームの結束力を劇的に高めたのである。
サポーターにとって神様のような存在へ
ロナウジーニョらの抜けた穴をチーム力で埋めたクルピ。サポーターにとって神様のような存在になっている 【Getty Images】
全国リーグでも、健闘している。コパ・ド・ブラジルを並行して戦っているため過密日程となり、選手のローテーションを強いられる。加えて、チームの規律を破ったジョーら3選手をチームから追放して選手層が薄くなったにもかかわらず、この原稿を書いている20日時点で4位につけている。
現在、クルピはアトレチコ・ミネイロのサポーターにとって神様のような存在だ。試合前、ピッチに姿を現わすと、観衆が総立ちで「レヴィー」コールを繰り返す。クラブが本拠を置くベロオリゾンテでは、町を歩いているとたちまち群集に取り囲まれ、身動きできなくなる。
信念を貫く姿勢が、チームに強い求心力をもたらす
香川(左)を攻撃的MFで起用したように、クルピは選手の資質と適性を見抜く能力がずば抜けている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
また、C大阪時代も乾、柿谷らが間違った振る舞いをすると厳しく注意したが、それは相手がロナウジーニョやジョーであっても全く変わらない。常にチームの最大利益を追求し、いかなる状況にあっても自らの信念を貫く姿勢が、チームに強い求心力をもたらしている。
61歳のクルピと63歳のオリヴェイラが、いずれも優秀な監督であることに疑いはない。しかし、少なくとも今シーズンに限っては、チーム作り、選手起用、モチベーターとしての手腕、危機管理能力などの点でクルピが優っていたと言っていいだろう。