一二三と中谷、“巻き返し”を誓った若トラ 春、スタート地点・沖縄に立つために

岡本育子

“変わった姿”を見せたいとアピールした中谷

関川コーチが「以前とは全然違う」と語った中谷。シーズン中からも評価が高かっただけに、来季は飛躍したいところ 【岡本育子】

 中谷選手は1軍の首脳陣が合流する前に、こんなことを話していた。「“あ、こいつ変わったな”というところ、姿をとにかく見せたい。去年と比べても変わったと思ってもらいたい」と力を込める。たとえば、どこを?「全部です」。少しずつ自信も持てるようになってきた守備に関しては「ミスをしていたら、そういうヤツだと思われるので、1つ1つのプレーを真剣にやってアピールできたらいいなと思います」と言う。

 それが沖縄キャンプ行きのチャンスにつながるかも。
「それは今までと同じように、行きたいという気持ちはあるけど。でもスタートはどこであれシーズンに結果を残すだけ。できることをしっかりやって、一日一日後悔しないように」

 ふむ、コメントもずいぶん大人になった。

まずは沖縄キャンプ、そして1軍の舞台へ

 山脇光治1軍外野守備走塁コーチに聞いてみると「一二三はまだこれから。中谷は良くなったねえ。去年の秋、ことしの春とキャンプに来ていたけど、ことしは違う。シーズン中に豊(中村ファーム外野守備走塁コーチ)から報告を受けていた。中谷は良くなったよ、って。今までスローイングでワンバウンドになったりしていたけど、安定感が増したね。もともと走る、捕る、投げるという点で潜在能力はあったから」と、中谷の進化を評価する。

 バッティングに関しては関川浩一1軍打撃コーチの話。「中谷? 以前とは全然違う。変わっています」という第一声。本人の思惑通り“変わった中谷”を見てもらえたようだ。
「バットがしっかり体の内側を通っている。体から離れなくなった。下半身の使い方が柔らかくなったんでしょう。集中力もつきましたね。たくさん打っていても抜けるところなく。非常に成長したと思いますよ」と関川コーチは続ける。

 一二三選手については「スイングがしっかりした。どちらかというと一二三はもともと集中力を持っていたので、それもあってスイングにバラつきがなく軌道が安定してきた」。話を聞いた17日は、外が暗くなるまで特打が行われた日で「4日間見て、きょうは一番良かった。ファームで掛布さんもやってくれて、体の使い方が安定した、良いスイング。前はバラバラだった」と、こちらも前進しているとのこと。

 最後に関川コーチは「このキャンプは若い子の気持ちが前に出ている。競争は激しくなるけど、その中で一二三や中谷といった名前がすぐ出るもん! 沖縄キャンプに連れて行きたい選手4、5人はすぐに名前が出ますよ。いや全員だね。総取り替えしちゃおうかな〜っていうくらい(笑い)。良いものを出してくれている」と締めくくった。

 来年2月、そろって沖縄キャンプに行けたとしても、そこはゴールでも何でもない、ただのスタート地点である。一緒に入団した同級生6人のうち、もう2人がタテジマのユニホームを脱いだ。彼らの思いを胸に携えて、何が何でも1軍で輝いてほしい。

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著者プロフィール

兵庫県加古川市出身。プロ野球ナイター中継や、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって30年以上。ウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それから阪神の2軍を取材するようになり、はや20年を超える。

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