“負の連鎖”に陥ったオランダ代表 ヒディンクは背水の陣でラトビア戦に臨む
ヒディンクの衝撃的な発言
12日に行われたメキシコとの親善試合に2−3で競り負けたオランダ 【Getty Images】
アイスランドとのアウェーゲームを0−2で落とし、予選2敗目を喫した後、フース・ヒディンクの更迭もささやかれたが、10月20日、オランダサッカー協会(KNVB)は「少なくとも11月のメキシコ戦、ラトビア戦まではヒディンク体制で行く」と発表した。例えオランダが不振とはいえ、少なくともホームゲームならラトビアに順当勝ちするだろうから、差し当たりの落ち着きは取り戻せたはずだった。
しかし、事態はそうならなかった。そのきっかけは11月7日の代表メンバー発表記者会見の席。ヒディンク監督は、ラトビアに負けるか、引き分けたら、代表監督を辞任すると明言してしまったのだ。ヒディンクいわく、「記者に聞かれたから、正直に答えただけ」とのことだが、ここは本音を隠して「協会に自分の去就を委ねる」と返すのが一般的。ヒディンクの発言に対するオランダでの驚きは大きい。
とてつもない緊張下で迎えるラトビア戦
16日のラトビア戦に敗れたら辞任する意向を示しているヒディンク監督 【写真:ロイター/アフロ】
イタリアとの親善試合(0−2)では開始10分で2点のビハインドを負った。アイスランド戦でも10分に先制ゴールを決められた。そして今回は8分。「これだけ早い時間帯に失点してしまうと、相手チームとの戦いというより自分たちとの戦いになってしまう」とヒディンクもこぼしていたように、立ち上がりのナイーブさは最近のオランダにとって重石となり、焦りにつながっている。“賢いプレイヤー”として知られるウェズレイ・スナイデルが45分、イブラヒム・アフェライのシュートコースを消すようにフリーランニングしたのは、本当に珍しいことだった。
そのスナイデルが49分、強烈なミドルシュートを突き刺して1−1にしたのはさすがだったが、それまでにオランダは多くの力を注いでおり、しかもDF陣の守備面での脆さとビルドアップでの脆さはメキシコ相手にカモフラージュできず、62分、69分と続けて失点してしまう。オランダは合計23本ものシュートを放ったが、焦りがシュートの精度不足につながり74分、ダレイ・ブリントのゴールで2−3とするのが精いっぱい。こうしてヒディンク就任後のオランダの戦績は1勝4敗となり、ラトビア戦を目前に「ヒディンクに対するプレッシャーはとてつもなく高まった」と現地では報じられている。
今回の合宿招集直後、アリエン・ロッベンは「相手チームへのリスペクトを込めて語るけれど、ラトビアは、負けたらヒディンクが辞めるだけではすまない相手。ようは勝てばいいんだ」と語っていた。しかし、今のオランダは自滅しやすく、カウンター型のチームの餌食になりやすく、自信も失っている。またしても開始早々、失点したら……。すでに『開始8分シンドローム』という造語もチラホラ出始めた中、オランダはとてつもない緊張下でラトビア戦を迎える。
「口が滑ったわけではない。前言は撤回しない」。ヒディンクはメキシコ戦後、ラトビアに負けたら退任の意向を曲げなかった。
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