日米野球は日本野球を認めさせるチャンス 小宮山悟が期待「MLBを本気にさせよ」

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アルテューベ、プイグに注目

小宮山氏が侍ジャパンの中で最も注目する大谷翔平。プロ2年目で初の代表入りを果たした20歳はメジャー相手にどのような投球を見せるのだろうか? 【写真は共同】

――今回のMLBオールスターチームで注目の選手は?

 アルテューベ、カノはやはり楽しみですね。あとはプイグ(ドジャース)。若い選手で、将来MLBを背負って立つ、そういう選手ですから。

――今回、日本はこれまでの選抜チームと異なり、代表チームが編成されています。小宮山さんが侍ジャパンに期待しているところはどこですか?

 MLBチームは寄せ集めで、チーム力でいう点ではハテナだと思います。逆に日本は小久保監督を中心に、WBC覇権奪回という明確な目標を掲げてチーム編成をしているわけですから、日本らしさを存分に発揮してくれるんじゃないかという気がします。

 ただ、まだチームとしてどういう野球をするのか見えていないので、ただMLBチームとがっぷり四つで試合をして、(今の実力が)どの程度のものなのかを試す試合という位置づけでもいいのではないかと思います。まだWBCは先ですから。今回、名だたるメジャーリーガーたちがいるMLBチームにどの程度、太刀打ちできるか「やってやろうじゃないか」でもいいのかもしれないですね。

日本野球を印象付ける試合を

――MLBオールスターチームとの対戦で注目したい侍ジャパンの選手は?

 それはもう大谷翔平選手です。日本国民全員が期待してるんじゃないですか(笑)。実際、大谷選手の球速は、MLBでもなかなか見ることができないので。また、前田健太投手にしても金子千尋投手にしても、将来MLBでやりたいという思いがある選手は、メジャーリーガーをいかに黙らせるかですよ。そういうピッチングをしてもらいたいです。

――日本人野手とメジャーの野手ではまだレベルが違うと言われます。小宮山さんが感じるバッターの違いはどんなところですか?

 フルスイングの度合い、打球の速度ですね。投手からすると一番の恐怖なわけですよ。投げて当たった瞬間に自分の視界からボールが消えていく速さ、それは相当な恐怖です。MLBの中軸を打つ選手の打球の速さと日本のバッターを比較した場合、それはもう雲泥の差ですよ。

――最後に、今回の日米野球に期待したいことは?

 手前味噌になりますが、日米野球の歴史は(母校の)早稲田大学野球部がシカゴ大学と試合したところから始まる歴史です。当時、相当開いていた力の差を、今はメジャーリーガーたちが日本人選手を認知してくれるくらいの感覚になってきました。それをもっと確実なものにするためには、MLBを本気にさせて、日本野球を印象付けるというのが一番大事なことです。
 今回来日した選手たちが、自チームに戻った時に、極東の島国に「すげぇ選手がいっぱいいたぞ」と、口コミをしてくれるようになることが一番の望みですね。たまたま私の時は、日米野球で何度も来日したロベルト・アロマーが日本のレベルを認めてくれていて、「チャンスがあれば何回でも日本に行って野球がしたい」と、言っていたんですよ。分かる人が見れば、日本野球のレベルの高さが分かってもらえるはずなので、野球の質を侍ジャパンの選手がメジャーリーガーたちに分からせるような、そんな野球をしてくれたらなといいですね。見に行くファンの方々にも、そういうものを踏まえた上で、日本とMLBの戦いを見てもらいたいなと思います。

(取材・文:森隆史/スポーツナビ)

小宮山悟/Satoru Komiyama

現役時代はロッテや米大リーグ・メッツなど、日米球界で活躍した野球解説者の小宮山悟氏 【スポーツナビ】

 1965年9月15日生まれ。千葉県出身。芝浦工大柏高−早大−ロッテ−横浜−メッツ−千葉ロッテ。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。2年間の浪人を経て早大に入学し、4年時には主将を務めた。89年のドラフト1位でロッテに入団。正確なコントロールと抜群の勝負度胸で1年目から先発ローテーションに入り、97年には最優秀防御率のタイトルを獲得する。99年には横浜に、02年には米大リーグ・メッツに移籍。ボビー・バレンタイン監督の下でプレーする。1年間の浪人生活を経て、04年に千葉ロッテに復帰。09年に現役を引退した。日本での通算成績は455試合に登板して117勝141敗4S・防御率3.71。

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