JBA、FIBAへの回答は成案にできず 丸尾会長代行「制裁解除に全力する」

スポーツナビ

再回答は「選手がプレーできるタイミングに間に合わせたい」

丸尾会長代行(左)とともに記者会見に出席した星専務理事(右)からは、11月末までにJBAの次期会長が決まる事が発表された 【スポーツナビ】

――10月の中旬にFIBAのバウマン事務総長と協議し、もっとじっくり協議を進めることで合意したということか? リーグの草案が10月末までにまとまらなくてもペナルティーはないという可能性もあるかどうかを確認はしたのか?

丸尾 「じっくりやるんだからペナルティーは課さないよ」といったたぐいの会話はしていません。時間だけを焦って、何かを決め込んじゃうということが、日本バスケットの将来に対して絶対に良いことではないんだと、「お互いに良い方向だというところまでしっかり頑張れ」ということです。

――時間的に急がないといけない中で、再回答のめどや次のタイムリミットはあるのか?

丸尾 具体的にそういう話は出ておりません。今我々が考えていることは、選手を大事にしなければいけないということ。どういうペナルティーがあるのか分かりませんが、一般的には国際試合を停止されるケースがあると思います。そういうことがあったとしても、来年のスケジュール、五輪予選などを考えれば、だいたい判断できるのではないかと思います。そのあたりをターゲットにして再提案できるように、来年の国際スケジュールに合わせて選手がプレーできるタイミングに何とか間に合わせたいと思っております。

――深津泰彦前会長が辞めるときに、統一リーグに関しては年内に詰めて、来年の3月頃にチームの参加募集をかけると言っていたが、現状タイムスケジュールはどうなっているのか?

丸尾 統一リーグについては、年内に公募要項を作って来年早々に公募するというスケジュールを生かしております。そういう意味では、年内というのは一つの考え方で進めなければいけないと思っています。

――協会や日本バスケ界の立て直しのために、今後具体的にどういうことをやっていこうと考えているのか?

丸尾 (リーグ)統一の話を前提に、過去のところもご指摘をいただき、それが『ガバナンス』の問題につながっていると理解しています。過去何度も「一緒になろうね」というのがあったわけですが、プロリーグを作るというのを協会が本当に強く思っていたのかどうか。プロリーグ自体は20年前から言っているが挫折をしている。bjリーグと一緒になるときに、なかなかお互い腹落ちしないところがあった。

 今回、bjリーグと一緒になるからプロリーグと言ったわけではなく、元々は『強化』の問題です。13年にフィリピンのアジア選手権で(最下位の)9位という成績になってしまいました。(日本代表の)成績がずっと低迷しています。いろんな強化アイデアがあります。プロという一つ大きな壁を乗り越えて、法人格の話もありましたけれど、選手もチームもリーグも、本当にプロで皆さんから注目されるようなリーグにしていかなかったら『強化』に結びつかない、ということでプロ化をスタートしました。

 bjリーグはプロリーグですから、そういう条件も整っている。かつ、東京五輪が決まって、FIBAからもずっと「(リーグを)一緒にしろ」と言い続けられてきた。そういうものがうまく重なって、今回の一緒になろうねとなった。20年の東京五輪が両リーグの背中を大きく押しました。会話をしながら決別しそうになっても「やっぱりそこだよね」ということで、原点に戻って会話するという感じになってきました。このような流れでリーグ問題(の話し合い)は進んでいます。

 今の『ガバナンス』ということからすると、そういうことを挫折しないで推し進めることができるかどうかだと思います。『強化』の施策がどういうものなのか、具体的な項目に落とし込んでやり切れるかどうか、というところが協会としての動きであり、行動力だと思っています。そういうところが参加団体からも信頼され「JBAにいてよかったな」と感じてくれることだと思うので、『ガバナンス』という言葉は非常に“統治”というような上から目線ではなくて、「信頼をどう得られるか?」というのが一番大きいです。やり切ることをやるということだと思っています。

――今後どのように話がまとまるのかが見えてこないが。

丸尾 大きなポイントになっているのが(統一リーグへの)参加要件の話。それから(統一)リーグの運営形態なり、株式会社bjリーグとの関係性。それを乗り越えるためには、方向をしっかり決めなければいけない。今までそれをできなかったので、「これは絶対ダメなんだ」とか、「法人格はここが肝なんだから、どんなことがあっても外すのは止めよう」というのを決めるとか、「企業名はしばらく猶予を持っていいよ」とか(を決めなければいけない)。そういうところが直前までは行っているんですけれど、決まってはいない。もうひと押しもう二押しすれば、決まっていくんじゃないかなと思っています。

「私の感覚では(統一へ向け)3分の2以上はいっている」

――リーグ統一というゴールへ向け、今何割の地点にいるのか?

丸尾 非常にお答えしにくい質問です。その意味は、ものすごく(さまざまなことが)絡んでいるんですよね。決まり出したら一気にいくんですよね。そうは言っても「実感として今どれくらいの割合なんだ?」というご質問だと思いますので、私の感覚では3分の2以上はいっていると理解しています。

――深津前会長が急に辞めて、会長職は次にいつ立てるのか? しばらくは丸尾会長代行体制が続くのか?

 定款に基づき、可及速やかに会長を決めるということで、今日の理事会でも決定しております。11月5日に『会長候補者選定委員会』というのを始めます。そこで候補者を選定して、11月末までには次期会長を決めるということになっています。それ以上延ばすことはいろいろな業務にも支障が出てきますので。

――FIBAからの回答はいつ頃になると考えている?

丸尾 まったく分かりません。

――改めてなぜリーグが一つになれないのか? 一番の問題点を教えて欲しい。

丸尾 一つは今までプロリーグではなかったということです。プロということをbjリーグは標榜している。バスケットを生業にできる法人格をしっかり持ってやろうというところがプロチームの原点です。地域に対して貢献するというのは、地域に愛されないと観客も来ませんし、お金がゼロのところから入場料を取ったりといろいろなことをして生活にあてるわけです。

 企業チームの場合には、それが予算化された中から物事がスタートされる。そういうものの考え方の差が出てくるし、そこは法人をちゃんとしましょうというところが大前提。そこが基本的な考え方だと思います。プロリーグですから、bjリーグに歩み寄りというよりも、企業チームにも努力してもらわなければいけないということです。

――リーグ統一に向けての参加要件は、bjリーグ株式会社とはどういう方向性で検討しているのか?

丸尾 新リーグの形態ですが、「一般社団法人は大前提です」という話はもともとしていました。一方、bjリーグは株式会社組織であるわけで、チームは一体になっても、事業形態の差はある。継続的に(組織が)生きていかないと、新しい法人ができたから(やめる)……というわけにはいかない。いろんな事業というものが新しいリーグになってもあるので、bjリーグの事業が上手く回るようにするなど、そういうスキームも考えていかないといけないということなんだろうと思います。

――両リーグが発展的解消をして一つになるわけではなく、株式会社bjリーグが残るならば、一般社団法人NBLも残るのか?

丸尾 新しいスキームでやることになるわけですから、継承するというより新法人ができるということで理解してください。一般社団法人NBLが残る、株式会社bjリーグが残るということでなく、リーグそのものが新しい形になる。株式会社bjリーグは現存するわけですから、そこからチームが移ってくるので、そういうスキームを作っておかなければいけないというような議論をしています。

――一つのリーグになるのに、株式会社bjリーグを残しておく必要性はあるのか?

丸尾 現在bjリーグは株式会社組織で、リーグを管理する立場です。そこで事業をしていて、株主さんがたくさんおられる。簡単にやめるというわけにはいかない。そういう意味でいろんな事業を継続してやっていかなければいけない部分があります。名前は別にして。公平性や平等性みたいなところで、事業をbjリーグができるのか? できないのか? というところが一つの焦点です。

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