デービス・ホワイト組が語る互いの存在 “二人でいる方が自然”なソチ五輪金ペア

スポーツナビ

多忙なスケジュールの中、笑顔でインタビューに応じたデービス(右)とホワイト 【スポーツナビ】

“氷上の社交ダンス”とも呼ばれるフィギュアスケートのアイスダンスで、メリル・デービス、チャーリー・ホワイト組(米国)は圧倒的な強さを見せてきた。2011、13年の世界選手権優勝、09年〜13年のグランプリファイナル5連覇など、次々にタイトルを獲得。そして今年2月のソチ五輪では悲願の金メダルを手にした。

 実は彼らは、実家がご近所同士の幼なじみ。ペア結成の1997年よりはるかに前から、現在に至るまでの長い年月をともに過ごしてきた間柄である。
 現在、休養期間に入った二人は今、あらためてお互いの存在をどう感じているのだろうか。「ジャパンオープン」(10月4日、さいたまスーパーアリーナ)出演を翌日に控えた10月3日、彼らに話を聞くことができた。

心の中に常にいる存在

幼なじみの二人の記憶の中には、常にお互いが存在している 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 早速、お互いをどう思っているか単刀直入にたずねてみた。すると二人は顔を見合ってクスクスと笑ってから、こう答えた。

「私たちの付き合いが始まったのは7歳のころ。だから、記憶の中にはずっと、お互いが存在し続けているの」(デービス)

「僕らはラッキーだと思う。家族も僕らを厚く支援してくれているし、彼女みたいにペアを組むのにちょうどいい身長で、家も近くて、学校も一緒なんていうパートナーと出会えることは滅多にないからね。僕らは常に同じページに居続けた仲なのさ」(ホワイト)

 心の中に常にいる存在――事前に打ち合わせでもしたかのように、同じ言葉を口にした彼ら。そのこと自体が、幼いころから苦楽をともにし、深く理解し合っていることを感じさせる。
 
“二人でいる方が自然”というペアの深いつながりは、信頼関係なくして成り立たないアイスダンスを極める上でも、大きなアドバンテージになった。そのことは、当の本人が誰よりも強く実感している。

「競技を続ける中で、お互いを熟知していることは大きな助けになっているわ。練習でも大会でも、パートナーを頼りにできるもの」(デービス)

「メリルが言うように、僕らにはすでに強固な信頼関係があったんだ。だから、新たに二人の関係を築く必要はなかったし、その分、試合や練習に集中できたのさ」(ホワイト)

「歩くよりも滑るほうが心地いい(笑)」(デービス)

ソチ五輪でも持ち前のスピード感あふれる演技を披露した 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 そんなデービス・ホワイト組の特徴は、彼らの代名詞である「高速ツイズル」に代表される、スピード感あふれるパフォーマンス。勢いよく滑り出し、トップスピードに乗ったままスピンもリフトもこなしてしまう。

 とはいえ、いくら世界を極めた二人でも、時にはその速さゆえに恐怖心を抱くこともあるのではないか。しかしホワイトは「いや、それはないよ」とやんわりと否定する。

「僕らは速いスケーティングが好きだし、これまでずっと一緒に滑ってきているから、お互い信頼し合っているよ。実際、スピードに乗ってリンクを横断するのが大好きなんだ(笑)」(ホワイト)

 一方のデービスも、幼いころからほぼ毎日一緒にスケートをしてきて、怖く感じることはないという。さらに、「なかなか人には理解されないのだけど」と前置きした上で、はにかみながらこう続けた。

「長い間一緒に滑っているので、歩くよりも滑るほうが心地よかったりするの」(デービス)

 こちらが驚きの声を上げると、ホワイトもすかさず「単にちょっと速く歩いているだけだよね(笑)」と同意する。その感覚というのは、やはり二人にしか分からないものなのだろう。

 ただ、危険な場面がなかったわけではない。過去にはリフトで危ないと感じたこともあるという。だからこそ、練習は慎重かつ入念に行っている。

「常にリンクでやる前に地上で練習して、危険がないようにだんだんと技を磨いていく。幸運なことに、大事に至ったことはないよ」(ホワイト) 

 ソチシーズンを終えて以降、五輪チャンピオンとしてイベント出演など忙しい日々を送るデービスとホワイト。競技生活からはしばらく離れるが、同じページの上で成長してきた二人のストーリーは、これからも続いていく。

(取材・文 小野寺彩乃/スポーツナビ)
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