トップ選手の引退休養、ボーカル曲解禁
ソチ五輪翌シーズンの勢力図を占う

 10月25日(日本時間)に始まる「グランプリシリーズ」のスケートアメリカを皮切りに、いよいよフィギュアスケートの2014−15シーズンが本格的な開幕を迎える。ソチ五輪の翌シーズンとなる今季、多くのトップ選手の引退や休養に加え、ボーカル曲解禁などのルール変更もあり、フィギュアスケート界が一気に様変わりしそうだ。どのような戦いになるのだろうか。

男子は日本から4人ファイナル進出の可能性も

今季は“フリーで4回転3本”に挑戦する羽生結弦
今季は“フリーで4回転3本”に挑戦する羽生結弦【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 日本男子はソチ五輪後も、多くのトップスケーターが残った。五輪王者の羽生結弦(ANA)、14年世界選手権銀メダリストの町田樹(関大)のほか、バンクーバー五輪出場の小塚崇彦(トヨタ自動車)や18年平昌五輪までの現役宣言をした無良崇人(HIROTA)など、誰もが4回転を習得し、かつ演技や滑りでも見せることができるベテランだ。


 一方、ソチ五輪銀メダリストのパトリック・チャン(カナダ)は今季を休養。日本のライバルとなるのは、ソチ五輪3位のデニス・テン(カザフスタン)や14年世界選手権3位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)、さらにミハル・ブレジナ(チェコ)、マックス・アーロン(米国)、閻涵(ハン・ヤン/中国)らも目が離せない。


 やはり男子は昨季に引き続き、“4回転ジャンプ2本”が世界の表彰台の絶対条件だろう。さらにフェルナンデスとアーロンは、“フリーで4回転ジャンプ3本”を成功させており、今季からは羽生も“フリーで4回転3本”に挑戦する。ソチ五輪以前以上に、男子のジャンプ技術の限界は上がっていきそうだ。


 シーズン前半に行われる「グランプリシリーズ」では6名がファイナル(日本時間12月12日〜14日、スペイン・バルセロナ)に進める。日本男子は誰もが実力者で、4人ファイナル進出も夢ではない。昨季に五輪代表争いを繰り広げた経験を糧に、日本男子のパワーを世界に示してほしい。

女子はロシア、米国が2強

村上佳菜子(右)、宮原知子はグランプリシリーズの表彰台候補(写真は14年四大陸選手権)
村上佳菜子(右)、宮原知子はグランプリシリーズの表彰台候補(写真は14年四大陸選手権)【Getty Images】

 一方の日本女子は、浅田真央(中京大)、安藤美姫、鈴木明子といったトップグループが抜けたことで、完全な世代交代が進んだ。ソチ五輪出場の村上佳菜子(中京大)に加え、成長著しい宮原知子(関大高)もグランプリシリーズの表彰台候補。練習拠点を新潟に変えた今井遥(ムサシノク)がどこまでこの2人に迫るかも注目だ。


 また、シニア初参戦となるのが本郷理華(愛知みずほ大瑞穂高)、大庭雅(中京大)、加藤利緒菜(長尾谷高)の3人。グランプリは1戦ずつのためファイナル進出はないが、シニアでどこまで通用するか腕試しとなる。


 女子の海外勢は、引退したキム・ヨナ(韓国)や、カロリーナ・コストナー(イタリア)の不在により、ロシア女子がトップを席巻する勢いだ。五輪女王のアデリーナ・ソトニコワ、14年世界選手権2位のユリア・リプニツカヤ、同4位のアンナ・ポゴリラヤ、そして世界ジュニア女王のエレーナ・ラジオノワもシニアに参戦する。誰もが「3回転+3回転」の連続ジャンプだけでなく、スピンや演技でも得意技を持ち合わせているのが魅力だ。


 ロシア女子の勢いに続くのが、米国女子。14年世界選手権出場のアシュリー・ワグナー、グレイシー・ゴールド、ポリーナ・エドモンズらはもちろんのこと、長洲未来やサマンサ・セザリオなど滑りにパワーのあるスケーターが健在だ。


 女子は、世界のトップ20人以上が「3回転+3回転」の連続ジャンプを武器にし、ジャンプの構成では横並びの状態。いかに、正確で質の高いジャンプを跳ぶかどうかが勝敗の分かれ目になるだろう。

野口美恵

元毎日新聞記者、スポーツライター。自らのフィギュアスケート経験と審判資格をもとに、ルールや技術に正確な記事を執筆。日本オリンピック委員会広報部ライターとして、バンクーバー五輪を取材した。「Number」、「AERA」、「World Figure Skating」などに寄稿。最新著書は、“絶対王者”羽生結弦が7年にわたって築き上げてきた究極のメソッドと試行錯誤のプロセスが綴られた『羽生結弦 王者のメソッド』(文藝春秋)。

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