今まで気づかなかった景色が見えた 元バレー代表・山本隆弘の自転車ライフ(2)

田中夕子

【提供:山本隆弘】

 現役引退後、同じ元バレーボール選手の益子直美さんの勧めもあり、自転車ライフをスタートさせた山本隆弘さん。「自分に合う自転車はないと思っていた」はずが、2m超えの身長でも悠々と乗れる特注自転車に出会い、今までは「悪いイメージしかなかった」という自転車に、どんどん惹かれていったという。

 一からスタートした練習内容はどんなものだったのか。「楽しい」と感じるきっかけは何だったのか。自転車を始めたきっかけを明かしてもらった第1回に続いて、元バレーボーラーの自転車生活を語ってもらった。

ビンディングペダルに苦労

ビンディングペダルに慣れたことで、ペダルを回転させるのが楽になったという 【提供:山本隆弘】

――実際にどんな練習からスタートしたのでしょうか?

 基本的に「絶対コレから始めましょう」というマニュアルはないけど、簡単に乗れるものではないので、きちんと指導を受けながら正しい乗り方を教えてもらうことからスタートしました。

 自転車の練習というと、「1人で漕ぎ続けなきゃいけないから大変だ」と思う人もいるかもしれませんが、実際にはさまざまなレベルの人たちが集まって、1つのチームとしてサイクリングロードを走ります。

 僕のように初心者でも安全に走れるように、前後は経験者がついてくれるので、自分のペースで安全に、焦ることなく実際のサイクリングロードを走れるのがとても楽しかったですね。

――快調なスタートだったんですね。苦労したことはありませんでしたか?

 ビンディングペダルになかなか慣れなくて、最初は苦労しました。初めて自転車に乗った時はランニングシューズだったので、足はペダルに固定しませんでした。でも、長い距離を走るには、シューズとペダルを金属で固定する「ビンディングペダル」のほうがいい、と勧められて始めたのですが、何しろ初めての経験ですから。

「固定する」「外す」という作業のたびに、いちいち混乱してしまいました。装着は簡単で、シューズの金属をペダルにカチっとはめ、かかとをひねれば外れるのですが、最初は片足だけ外したらそれでヨシ、と思ってしまって、右足をペダルに装着したまま、派手に転んだこともありました(笑)。

 でも、慣れるとビンディングペダルの方がペダルを踏む力だけでなく、引き上げる力も加わることで楽に漕げる。最初は無意識に両足が外に開いて漕いでしまいがちなのですが、ビンディングペダルで固定することで母指球に体重が乗るので、体勢もブレない。慣れてからは、ペダルを回転させるのが本当に楽になりました。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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