まずは自分仕様のバイク選びから 初めての「ツール・ド・東北」挑戦記(1)

スポーツナビDo

【スポーツナビDo】

きっかけは何気ない一言だった……

「“ツール・ド・東北”ですか? 出てみたいんですよね」

 それは6月のある日のこと。ランチを食べた後、杉本渉社長から何気なく聞かれた質問に答えたものでした。河北新報社とヤフー社が主催するこの大会に出たいと思っていたことは事実で、開催概要を調べてはいたのです。ただ迷っていました。僕は自転車に関してはまったくの素人。そもそもスポーツバイク(競技用の自転車)すら持っていません。

「お、本当。了解ー」

 いつもの軽い雰囲気で返答する杉本社長。そして、会話は違う話題へと移っていきました。僕はそこでツール・ド・東北に関する話は終わったものだと思っていたのです。しかし、その1時間後、僕が打ち合わせから戻ると、満面の笑みで近づいてきた杉本社長はこう言い放ちました。

「ツール・ド・東北 2014に2人で出ることにしたから。『スポーツナビDo』で連載持って。僕が自転車を買うところからスタートね。全部調整しておいたから問題ないよ。カメラ持ってきて写真撮って。あ、被写体は僕だから。本番までずっと練習にも付き合って。僕も自転車は初心者だから不安だよね。大会までよろしく! だってさ、『出たい』って言ったよね」

 そういうわけで、初めてのツール・ド・東北はまさかの社長同伴で臨むことになりました。大会本番は9月14日。エントリーコースは「何か完走できそうじゃん」(杉本社長)という安易な理由で、北上フォンド(100キロ)に決まりました。まったくの素人2名が、わずか2カ月の準備でツール・ド・東北を完走できるのか? そんな無謀なチャレンジを、これから体を張ってレポートしていきます。

自分仕様のバイクが仕上がっていく

【スポーツナビDo】

「競技用自転車に乗ったこともない人が2カ月で“ツール・ド・東北”を完走したい。正直、どうしようかと思いましたよ……」

 そう語ってくれたのは今回、マテリアルやギアなどの面でアドバイスをしてくれた渋井亮太郎さん。渋井さんは、ツール・ド・東北のオフィシャルテクニカルサポーターを務める自転車メーカー、ジャイアント社のPR担当なのです。自転車を知り尽くす渋井さんは、初心者であるわれわれに最適なバイクを準備してくれていました。そして後日、「ジャイアントストア目黒通り」にバイクを受け取りに行ったのです。

計測する杉本社長 【スポーツナビDo】

「2人が初心者であることと、今回はロングライドでツール・ド・東北はアップダウンが激しいことから、まずは安定性が高いものを選びました。カーボン製は衝撃も吸収してくれますからね」(渋井さん)

 実際にバイクを見ても前傾がそこまできつくなく、乗りやすそうな形状。そして持ち上げてみると、とにかく軽い。これなら急な坂道でも踏ん張れそうですし、持ち運びも簡単にできます。ただ、「とても繊細なバイクなので、取り扱いには十分に注意してください。派手に落としたりしたら、せっかくのバイクに傷がついてしまいます」(渋井さん)とのアドバイス。それくらい軽いんです。

 なお、杉本社長のバイク(DEFY ADVANCED 1)と僕のバイク(DEFY COMPOSITE 2)では、杉本社長の方が1キロほど軽くなっています。重量の影響は、走りにどれほど出てくるのでしょうか。「もちろん、重いよりも軽いにこしたことはありません。平地ではそこまで影響はないでしょうが、上りでは出てくるかもしれませんね」と渋井さん。その横で「そもそも、僕たちがやせないと意味がないよね」という、節制とはほど遠い生活を送る杉本社長のぼやきが聞こえました。

 バイクの説明を受けた後、身長とともに股下の長さを計り、その人の体に合わせたサドルの高さに合わせていきます。ジャイアントストア目黒通りの店長である東俊之さんのもと、フィッティングが行われていきました。サドルの高さがミリ単位で調整され、自分仕様のバイクが仕上がっていく様子を見るのは、思わず顔がにやけてしまいます。作業の合間に、初心者の方にはどのようなバイクを勧めるのか、東さんに聞いてみました。
「通勤用なのか、ロングライドをしたいのかなど使用する目的を聞いて、商品を合わせていきます。初めて乗られる方は予算が10万円前後の方が多いですね。われわれとしては、長いスパンで走ってほしいし、乗っている姿がかっこいいと思ってもらいたいと思っています。ですので、それに合わせた自転車を提案してきますね」(東さん)

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著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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