今まで気づかなかった景色が見えた 元バレー代表・山本隆弘の自転車ライフ(2)
自転車を始めて、世界が変わった
【提供:山本隆弘】
特別なことではないですが、車では味わえない感覚を味わった時ですね。僕は基本的に車で生活してきたのですが、自転車に乗ると、今まで全然気づかなかった景色が見える。同じ道を走っていても、「こんなところに野球のグラウンドがあったんだ」とか「こんな花が咲いているんだな」とか。向かい風のピューピューっていう音も聞こえて、そういう何気ないことがすごく新鮮で、楽しさを知るきっかけになりました。
「自転車を始めて、世界が変わった」と語る山本さん 【スポーツナビDo】
自転車やランニング、トレーニング中には音楽を聴きながら、という人も多いかもしれませんが、自転車で走る時は音楽ではなく、子供たちが野球をする音とか、キャッチボールの音とか、自然の音を楽しみながら走ることをオススメします!
――始める前と、始めてから、大きな変化がありましたね
ホントに。始める前は自転車に乗っている人を見るたび「よくやるなぁ」と思っていました。そもそも自分に合う自転車がなくて、絶対に「疲れる道具」という感覚しかなかったけれど、実際に自分に合う自転車ができて、漕ぎ方も教えてもらうと、疲れるどころかむしろ軽い。
最近は自転車に乗っている人を見ると「あ、仲間だ」と思うし(笑)、乗っている姿勢を見て「あの人はうまいなぁ」と思ったり、今までとは見方が全然違います。たとえば車に乗っていて「○○まで50km」とか書いてあると、「今度は自転車で行こうかな」と思うようになりましたね。自転車を始めて、世界が変わった。本当によかったです。
「京都美山 サイクルグリーンツアー」にも参加(前列左から2番目) 【提供:山本隆弘】
競技というよりも趣味の意識なので、「これが目標」というのは特にありません。イベントやレースに出て、100kmとか200kmを走ることもあるけど、それも「勝ちたい」とか「これぐらいのタイムで走るぞ」ではなく「楽しもう」というのが大きいです。
初めて出場したレースが210kmを走る「佐渡ロングライド」だったのですが、僕、大きいから目立つじゃないですか。だからレース中も、後ろから走ってきた人に「山本さん、頑張ってね」とか声をかけられたりするんですよ。普通の自転車、いわゆるママチャリでレースに出ていた人が、下り坂で「やったぁ! 山本さんを抜いたぞ」と言いながら前に行くんだけど、登り坂になると競技用の自転車に乗っている僕の方が楽に漕げるから、今度はその人を抜き返すと「あぁまた抜かれたぁ」とか言いながら、楽しそうなんですよね。
レースなんだけど、一緒に走る人や応援してくれる人、ボランティアの人たちともごくごく自然に話をして、すごく楽しい。バレーボール選手の時はね、やっぱり試合前はピリピリしていますから。そこは全然違いますね。
自転車でいろんなところに旅行したいし、おいしいうどん巡りとか、ディズニーランドや柴又の帝釈天など、自分なりの楽しみ方、観光コースを探したいです。富士山を登るレースもあるんですよ。今までならば「絶対に嫌だ」と思っていただろうけど、そう聞くだけで「秋の紅葉の時期に行ったら最高だなぁ」とか、今までとは全然受け取り方が違います。 人間って、変われば変わるものですね(笑)。
日常の楽しみという以外ならば、東北に行きたいです。以前、東日本大震災で大きな被害を受けた東北へ行き、バレーボール教室や自分たちなりのできることをやってきたのですが、その時に、バスの中から見た風景は今でも忘れられません。震災から3年が経ち、どれだけ復興したのか。実際に町を見てみたいし、今度は車の中からではなく自転車で回りながら、東北でのレースに出たり、さまざまなイベントなど、また新しいこともやってみたいですね。