新生日本は千変万化のチームを目指せるか 脱・一本調子へ“つかみ”はOK
ウルグアイ戦で武藤(右)の投入後、システムを変更したアギーレ監督。変更に込めた監督のメッセージとは? 【Getty Images】
唐突な布陣変更の真意とは?
「相手にリードされている状況で、本田を守備に回すのを少なくするためのシステム変更だった。彼をより前で、よりフリーでプレーさせるという意図があった」とアギーレ監督はそう振り返る。その直後にミスが出て失点したが、引いた相手に対して攻撃に人数をかけ、ポイントを高くするという狙いは理解できた。
「4−3−3」は攻撃時にセンターバック(CB)の間にアンカーが入ることでビルドアップの起点を確保し、守備ではバイタルエリアに縦のボールを入れさせないメリットがある一方で、全体の重心が後ろに下がる傾向がある。アギーレ監督はポゼッションを意識したシステムとして考えているはずだが、「4−4−2」はより効率よくサイドを突き、最後は2トップをシンプルに生かすという速攻志向の強いシステムとなる。
もちろんシステムは対戦相手とのかみ合わせで意味も効果も違ってくるが、この試合に関してはウルグアイのプレッシャーが強く、攻守のバランスが重視されるノーマルの時間帯は「4−3−3」、ウルグアイが引き気味になり、しかもリードされているスクランブルの時間帯は「4−4−2」にシフトしたということになる。
フレキシブルな戦い方という方向性は就任会見でも語っていたが、「今日の試合で初めてやりました」と細貝。終盤に出た森岡亮太も「練習では1回もやってないです」と語るように、選手にとっては予期しない変更だった。練習でやらなかったのは単に時間がなかったのか、選手の対応力を見るためにわざとやったのか。あるいはその両方だったのかもしれない。
スタートの「4−3−3」にしても、アンカーがビルドアップ時にCBの間に入ることなど基本的な動きは指示されていたものの、どの位置からプレッシャーをかけるかなど、ディテールは選手に任されていたようだ。現時点で伝えるべきことと、選手たちで判断させることをハッキリ線引きしていたのだろう。