錦織、優勝のカギは「ディフェンス」=全米オープン準決勝後インタビュー

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決勝進出を決めた錦織が、準決勝のジョコビッチを振り返った 【Getty Images】

 米国・ニューヨークで開催中のシーズン最後のグランドスラム「全米オープンテニス」。大会第13日(現地時間6日)は、男子シングルス準決勝が行われ、快進撃を続ける錦織圭(日清食品)が第1シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)との大一番に臨んだ。35度を超える気温の中、世界ランキング1位を相手に一歩も怯むことなく果敢に攻めた錦織は、6−4、1−6、7−6(4)、6−3のセットカウント3−1でジョコビッチを下し、決勝へ駒を進めた。日本男子としてはもちろん、アジア男子としても初となるグランドスラムの決勝進出となる。

 快挙を成し遂げたばかりの錦織が、準決勝を振り返った。

今は「絶対に勝ちたい」という気持ちしかない

――準決勝に進出したときは「決勝に出るまでは喜べない」と言っていましたが、実際に決勝進出を決めた今の正直な気持ちは?

 いや、うれしいですね。倒した相手も強い相手なので、こうやってしっかりまた勝ち切ることができたのが、とってもうれしいです。

――日本人初のグランドスラム決勝進出という、新たな歴史を作ったことに対してはいかがですか?

 もちろんうれしいですけれど、あまりレコードは気にせず、グランドスラムの決勝に入るということは僕も初めてのことなので、もちろん緊張したりもあるだろうし、しっかり気持ちの準備を整えておきたいですね。

――振り返ってみて、準決勝の試合はいかがでしたか?

 入りは良かったですね。(4回戦で対戦したカナダのミロシュ・)ラオニッチも、(準々決勝のスイスのスタン・)ワウリンカのときも入りが硬かったり、ちょっと気持ちが入り切れていなかったりしたんですけど、前日の夜にしっかりメンタルを準備して、いろいろ自分の中で考えて。特にこの2試合があまりいい出だしではなかったので、コーチからももちろん言われていましたし、出だしからしっかり自分のテニスをすることを心掛けて入りました。

――ハングリーというか、「次も絶対に勝ちたい」といった気持ちはムクムクと出てきていますか?

 今はそれしかないですね。何となく、まだグランドスラムの決勝にいるという感覚があまりなくて。準決勝も舞い上がらず、しっかり試合に入り込んで、ジョコビッチ相手に戦うことができています。多分、マスターズで決勝にいったりした経験などが生きてきているのかなと感じます。

――イメージを膨らませたというのは、実際には試合と試合前のシミュレーションですか? グランドスラムに対する対策はどうされていますか?

 出だしの試合の入り方だったり、気持ち一つでプレーも変わってきます。もちろん、ジョコビッチとやることで、長いラリーもたくさんあるだろうし、体力面でキツイところを気持ちの面で負けないように、というのを一番に考えてやっていました。

「あえて逆境になることを考えていた」

――錦織選手もかなり疲れているところで先にブレークされました。精神的にかなりキツかったのではないかと思いますがいかがですか?

 そうですね、また嫌な展開でしたね。ワウリンカのときも、(ゲームカウント)5−3のサーブで簡単に落としてしまったり。2試合連続でしたし。でも、とりあえず本当にリセットすることを心掛けて、切れずに何とかやっていました。

――第3セットはタイブレークとなりました。最初のポイントを取ってはいましたが……。

 いや、もうリードしてたときも「追いつかれるんだろうな」という気持ちでやっていたので、ある意味準備はできていたというか。何試合か少し油断しがちになっているので、気持ちであせらないように、あえて逆境になることをずっと考えながらやっていました。でも、あのタイブレークで、このぐらいの(強い)選手があんなに簡単なミスをしてくれるんだ、という。やはり「誰でもナーバスになったりするんだな」というのをあらためて感じました。

――第2セットは逆に、ジョコビッチが主導権を取り返そうといろんなことをしてきたと思いますがいかがでしたか? 第2セットはわりとあっさりという気がしましたが。

 もう何となく「ヤバイな」という感じでした。ずっと彼のペースで、何を打っても決まらないし、左右に振られるし、すごい打ってくるわけではないですけれど、丁寧にサイドに振り分けてくるので、「彼の強さというのはこういうテニスなんだな」と。このまま長いラリーがずっとになると、自分の方が体力的に先に負けてしまうし、このままいってしまうのかなという不安はありました。

――その中で、意識的に体力面で貫けたのが、ひとつのカギになったのではと思いますが、いかがですか?

 3セット目ぐらいから、自分でポイントを早めに終われるように自分から打っていったり、それが効いていたので自分のテニスも良くなってきてましたし、バックのダウンザラインだったり、フォアでもっとしばいていくというのを考えてやっていました。

――「明けない夜はない」とおっしゃっていて、自らの力でそれを証明し続けていますが、あと1試合でそれができそうですか?

 そうですね、自信もついてきていますし、しっかり強い選手も倒していいテニスができているので、このまま調子を落とさずにやれれば絶対にいけると思います。

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